軽貨物の日常点検記録簿テンプレ|15項目PDF雛形(無料DL)と記入例【2026年版】

「日常点検って毎日やらないといけないのはわかったけど、どのシートを使えばいいの?」
こんな疑問を持っているドライバーさんは、実はとても多いです。ネットで検索するとトラック向けのチェックリストばかり出てきて、「軽貨物の自分には当てはまらないんじゃないか」「どこまで書けばいいかわからない」と感じる方も少なくありません。
実は国土交通省は、軽貨物事業者向けに「日常点検15項目チェックシート」を公式に案内しています。専用の様式がちゃんと存在するのです。また、2025年4月施行の安全対策強化によって、点検そのものだけでなく「記録の保存」まで法令上より明確に求められるようになりました。
とはいえ、やり方がわかれば難しいことはありません。この記事で紹介するPDF雛形を印刷するか、スマートフォンのアプリを使えば、今日から記録を始められます。15項目の内容と、1項目ずつの具体的な書き方も丁寧に解説しますので、「何を確認して、何を書けばいいか」が一通りつかめる内容になっています。
この記事でわかること
- 日常点検が「義務」である法的な根拠と、2025年4月の安全対策強化との関係
- 誰が・いつ・どれくらいの頻度で点検すべきか(対象・頻度・保存期間)
- 国交省公式の15項目・3グループ分類(エンジンルーム5/クルマの周り4/運転席6)の全体像
- 15項目それぞれの点検手順と、記録簿への具体的な書き方
- 無料PDF雛形のダウンロード方法と、アプリ(delilog)での記録方法の比較
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1. なぜ日常点検は「義務」なのか
「義務とは知っているけど、自家用車のルールとは何か違うの?」と感じている方は多いと思います。ここをきちんと理解しておくと、日常点検の位置づけがはっきりします。
根拠条文は道路運送車両法第47条の2
日常点検の法的根拠は、道路運送車両法第47条の2です。ただしこの条文には、対象によって異なる2つの規定があります。
第1項(自家用車・マイカー向け)
「自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に...目視等により自動車を点検しなければならない。」
自家用車は「走行距離や運行状態を見て、適切なタイミングで点検する」という規定です。時期の判断は自動車の状態次第、ということになります。
第2項(事業用自動車・軽貨物の黒ナンバーを含む)
「次条第一項第一号及び第二号に掲げる自動車の使用者又はこれらの自動車を運行する者は、前項の規定にかかわらず、一日一回、その運行の開始前において、同項の規定による点検をしなければならない。」
黒ナンバー(事業用軽自動車)で運送業を営んでいる方は、この第2項が適用されます。
結論: 軽貨物事業者(黒ナンバー)は、運行する日は一日一回、業務を始める前に必ず点検することが法令上の義務です。「走行距離や状態を見て判断する」余地はなく、毎回の運行前に実施することが条文で定められています。
国交省リーフレットの「適切な時期」という表現に注意
国土交通省が2025年4月の安全対策強化に合わせて発行したリーフレット(「貨物軽自動車運送事業者の安全対策が強化されました」)のP4には、車両の日常点検の確認方法例として次の文言が記載されています。
「走行距離や運行時の状態等から判断した適切な時期に、エンジンルーム内、ライト、タイヤ、運転席周りについて、目視等により確認します」
これを読んで「毎日じゃなくていいの?」と感じた方もいるかもしれません。ただ、この「適切な時期に」という表現は、道路運送車両法第47条の2第1項(自家用車向け)の文言です。リーフレットが確認方法の例としてこの表現を引用しているからといって、軽貨物事業者の義務水準が緩くなるわけではありません。
事業用の黒ナンバーには第2項が適用され、「一日一回・運行前」が義務です。リーフレットの表現に引きずられて誤解しないようにしましょう。
「義務」には二層構造がある
日常点検の義務は、実は二層構造になっています。
1層目: 点検そのものの義務(道路運送車両法・古くからの規定)
道路運送車両法第47条の2の規定は以前から存在しており、事業用軽自動車を使って運送業を営む場合は、もともと一日一回・運行前の点検が義務でした。
2層目: 2025年4月施行の安全対策強化で追加された義務
2025年4月1日から施行された改正により、点検そのものに加えて「記録の保存」と「業務前点呼での確認」が法令上より明確に求められるようになりました。つまり、「点検した」という事実を記録として残し、点呼のときにその確認を行う、という流れが整備されたのです。
これまでも点検は義務でしたが、「記録して保存する」という運用が2025年4月以降に強化された、と理解しておきましょう。
国交省は軽貨物事業者向けに「15項目チェックシート」を公式案内している
先ほどのリーフレットP4には、日常点検の確認手段としてQRコードが掲載されています。このQRコードのリンク先は、国土交通省が公開する「日常点検15項目チェックシート」(t_checklist.pdf)です。
つまり国土交通省は、軽貨物事業者向けに15項目チェックシートを使うよう公式に案内しています。
「このチェックシートは自家用車(マイカー)向けでは?」と思った方もいるかもしれません。確かに国交省のウェブサイトでは「マイカーを点検しよう!」というタイトルでこのシートを案内していますが、リーフレット(軽貨物事業者向けの法令解説書)の中にQRコードとして掲載されているという事実は、「軽貨物事業者にもこのシートを使ってほしい」という国交省の意図を示しています。
第3章では、この15項目の内容を3つのグループに分けて丁寧に解説します。
2. 対象者・いつ・どれくらい保存するか
「自分は対象になるのか」「いつやればいいのか」「記録はどれくらい保存するの?」という3つの疑問をここで解消します。
対象になるのは?
黒ナンバー(事業用軽自動車)で運送業をしているすべての方が対象です。
- 個人事業主(いわゆる1人親方)の方
- 法人が運営している場合の担当ドライバーの方
- 直接委託・間接委託(2次受け・3次受け)の方
「私はフリーランスだから関係ない」「小さな仕事しかしていないから」という例外はありません。黒ナンバーを使って運送の仕事をしている以上、対象になります。
なお、バイク便(自動二輪車のみを使う方)は本記事の対象外です。道路運送車両法の点検基準は四輪と二輪で異なり、この記事では軽貨物(四輪以上の軽自動車)に絞って解説します。
実施のタイミングと頻度
結論: 運送業務を行う日は、ハンドルを握る前に毎回必ず点検することが法令上の義務です。
道路運送車両法第47条の2第2項により、事業用軽自動車(黒ナンバー)を使って運送業を営む場合は「一日一回、その運行の開始前において」点検することが定められています。これは実務上の目安でも推奨でもなく、条文に明記された義務です。
タイミングのイメージを具体的に言うと、「最初の荷物を積む前」「配送センターを出発する前」「その日の最初の運行を始める直前」が点検のタイミングです。
国交省リーフレットP4に記載された「走行距離や運行時の状態等から判断した適切な時期に」という表現が目に入った方もいると思いますが、これは道路運送車両法第47条の2第1項(自家用車向け)の文言を確認方法の例示として引用したものです。事業用の黒ナンバーには同条第2項が適用され、「一日一回・運行の開始前」が義務の基準です。
業務をしない日(休業日など)は、そもそも運行しないため点検義務は発生しません。「運行する日は毎回・運行前に」が正しい理解です。
記録の保存期間
日常点検の記録は1年間保存することが求められます(貨物軽自動車運送事業輸送安全規則に基づく)。
ここで覚えておくと便利なのは、点呼記録・業務の記録(運行記録)も同じく1年保存という点です。3種類の記録の保存期間がすべて1年に揃っているので、同じバインダーやフォルダにまとめて管理することができます。
紙で管理する場合は「年・月ごと」にまとめたバインダーを1冊用意し、点呼記録・業務の記録・日常点検記録を一緒に綴じる方法がシンプルでおすすめです。アプリで管理すれば、すべての記録が一つのアプリ内で期間管理されるため、保存し忘れの心配がありません。
点呼記録との関係
2025年4月施行の安全対策強化で、業務前点呼の確認事項が法令上明確になりました。業務前点呼では次の4項目を確認し記録することが定められています。
- アルコール検知器による酒気帯びの有無
- 疾病・疲労・睡眠不足などの状態
- 車両の日常点検の実施又はその確認
- 運行に関する指示
この3番目の項目が重要です。業務前点呼の中に「日常点検をしたか(または確認したか)」を確認する項目が法令で定められています。
実務の流れとしては、「業務前に日常点検を実施する → 点呼で『今日の日常点検は済んでいます』と確認する → 点呼記録にその事実を残す」という連携が求められます。
日常点検と点呼記録は別々の書類ですが、毎朝の業務開始時にセットで行うものとして一体的に運用するのが、実務的に最も無駄のない方法です。
点呼記録の具体的な書き方や4項目の記入例については、点呼記録の書き方と注意点の詳細はこちらをご覧ください。
3. 国交省公式の15項目・3グループを把握しよう

15項目と聞くと多く感じるかもしれませんが、国土交通省のチェックシートでは「どこで確認するか」によって3つのグループに整理されています。エンジンルームの点検(5項目)・クルマの周りの点検(4項目)・運転席での点検(6項目)の3グループです。
この3グループは、「確認する場所の順番」そのままです。まずボンネットを開けてエンジンルームを確認し、次に車の外側を一周して確認し、最後に運転席に乗り込んで確認する——この流れで作業すれば15項目をすべてカバーできます。ルーティンとして覚えやすい構造になっています。
なお、インターネットで日常点検の解説を探すと「タイヤ系・ブレーキ系・電気系」のように部品の種類で分類しているサイトも見かけます。こうした分類はわかりやすい面もありますが、国交省の公式分類とは異なります。本記事では国交省のチェックシート(t_checklist.pdf)の分類をそのまま使います。
グループ1:エンジンルームの点検(5項目)
最初のグループはボンネットを開けて確認する5項目です。液体の量を目視で確認する作業が中心になります。
| # | 項目名(国交省公式表記) |
|---|---|
| 1 | ブレーキ液の量 |
| 2 | 冷却水の量 |
| 3 | エンジン・オイルの量 |
| 4 | バッテリ液の量 |
| 5 | ウインド・ウォッシャ液の量 |
「ウインド・ウォッシャ」はナカグロ(・)あり、「バッテリ」は語尾に長音符(ー)がない表記です。国交省のチェックシートの表記に合わせているため、記録簿に書く際もこの表記を使いましょう。
エンジンルームの5項目はすべてリザーバータンクやリザーバーキャップの「規定量ライン(MAX/MIN)」を目視で確認する作業です。いずれもメーカーが定めた適正範囲に入っているかどうかを確認します。
1日1回ではなく「週に1回程度確認すれば十分では?」と思う方もいるかもしれませんが、法令は「一日一回・運行前」を定めています。実際、ブレーキ液の急激な減少や冷却水漏れは車両の重大な不具合のサインである場合があり、毎日確認することで異変に早期に気づけるメリットがあります。
グループ2:クルマの周りの点検(4項目)
2番目のグループは車両の外側を歩きながら確認する4項目です。ランプ類とタイヤの状態を目視で確認します。
| # | 項目名(国交省公式表記) |
|---|---|
| 6 | ランプ類の点灯・点滅 |
| 7 | タイヤの亀裂や損傷の有無 |
| 8 | タイヤの空気圧 |
| 9 | タイヤの溝の深さ |
ランプ類(6番)は、ヘッドライト・ブレーキランプ・ウインカーなどが正常に点灯・点滅するかを確認します。1人でブレーキランプを確認するのが難しい場合は、壁や車庫のシャッターへの反射を見る方法が実務では一般的です。
タイヤの3項目(7〜9番)は、車の外周を歩きながらまとめて確認できます。タイヤの溝の深さについては、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(第89条)で1.6mm以上であることが定められています(二輪自動車は0.8mm)。タイヤに成形されているウェアインジケーター(スリップサイン)が露出していれば、溝が1.6mmを下回っているサインです。
グループ3:運転席での点検(6項目)
最後のグループは運転席に座った状態で確認する6項目です。エンジンを実際にかけて動作を確認する項目が含まれます。
| # | 項目名(国交省公式表記) |
|---|---|
| 10 | エンジンのかかり具合・異音 |
| 11 | ウインド・ウォッシャ液の噴射状態 |
| 12 | ワイパーの拭き取り能力 |
| 13 | ブレーキの踏み残りしろと効き具合 |
| 14 | 駐車ブレーキの引きしろ(踏みしろ) |
| 15 | エンジンの低速・加速状態 |
エンジンのかかり具合(10番)は、スターターを回したときにスムーズにエンジンがかかるか、始動時に異常な音がしないかを確認します。エンジン始動後すぐに確認できる項目です。
ウインド・ウォッシャ液の噴射状態(11番)とワイパーの拭き取り能力(12番)は、実際にウォッシャスイッチを操作して確認します。ウォッシャ液がノズルから正常に噴射されるか、ワイパーが窓に密着してしっかり拭き取れるかを見ます。
ブレーキ(13番・14番)は安全に直結する重要項目です。フットブレーキは「踏み込んだときに床から十分な余裕(踏み残りしろ)があるか」と「制動が効いて止まれるか」を確認します。駐車ブレーキは「引きしろ(または踏みしろ)が適切な範囲にあるか」を確認します。
エンジンの低速・加速状態(15番)は、エンジンをかけた状態でアイドリング時の安定感と、軽くアクセルを踏んだときのスムーズな加速を確認します。
3グループの点検ルーティン
3グループの動線をまとめると、このような順序で動くことになります。
- エンジンルームを開ける → グループ1(5項目)を確認してボンネットを閉める
- 車両の外周を一周する → グループ2(4項目)を確認しながら歩く
- 運転席に乗り込む → グループ3(6項目)を確認する
この順序で動けば、エンジンルームを開けたり閉めたり、乗り降りを繰り返したりすることなく効率よく15項目を確認できます。慣れれば5〜10分程度でひと通りの点検を終えられます。
第4章では、各項目の具体的な確認方法と、記録簿への書き方を1項目ずつ丁寧に解説します。
4. 15項目の点検手順と記入例
ここからは15項目それぞれの確認方法と記入例を見ていきましょう。国交省の3グループ分類(エンジンルーム→クルマの周り→運転席)の順に進むと、一筆書きで点検が完結するので効率的です。各項目の判断基準はメーカー指定の範囲が基本ですが、法令上の数値基準がある項目はその旨を明記します。
グループ1:エンジンルーム(5項目)
ボンネットを開けてまとめて確認できる5項目です。エンジンが完全に冷えた状態か、少なくとも停止後5分以上経ってから確認するものが多いため、駐車場に着いてすぐ開ける習慣をつけると業務開始前の流れに組み込みやすくなります。
1. ブレーキ液の量
確認方法: ボンネット内にあるブレーキフルードのリザーバタンク(半透明の樹脂製タンク)の側面を目視で確認します。
正常の目安: タンク側面に刻まれた「MIN」と「MAX」の線の間に液面があればメーカー指定の範囲内で正常です。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「ブレーキ液 MIN以下。整備工場で補充・配管点検依頼」と記入
急にMINを下回っている場合は、ブレーキパッドの摩耗ではなく配管からの漏れが原因の可能性があります。補充だけで済ませず、整備工場に配管の点検も依頼しましょう。補充する際はメーカー指定のグレードのブレーキ液を使用してください。
2. 冷却水の量
確認方法: ラジエーター横に設置されているリザーバタンクの側面を目視で確認します。
正常の目安: タンク側面の「LOW」と「FULL」の線の間に液面があればメーカー指定の範囲内で正常です。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「冷却水 LOW以下。指定冷却水を補充して運行」と記入
エンジン停止直後は冷却系が高温・高圧になっているため、ラジエーターキャップを不用意に開けると熱湯が噴出するおそれがあります。確認はエンジン停止後に十分冷えてからにしましょう。短期間で急に減っている場合は冷却系の漏れが疑われるため、整備工場での点検が必要です。
3. エンジン・オイルの量
確認方法: エンジンルーム内のオイルレベルゲージを引き抜き、付着したオイルを拭き取ってから再度差し込み、もう一度引き抜いて液面の位置を確認します。
正常の目安: ゲージ先端の「L(Low)」と「F(Full)」の刻みの間にオイルが付着していればメーカー指定の範囲内で正常です。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「オイル量 L以下。規定オイルを補充」と記入
測定は必ずエンジン停止後5分以上経ってから行ってください。エンジンが動いている間はオイルが循環しているため、正確な量を測れません。軽貨物車は走行距離が積み重なりやすいため、量だけでなくオイルの色や粘度(ゲージについたオイルの状態)にも定期的に注意を向けましょう。
4. バッテリ液の量
確認方法: バッテリ本体の側面に刻まれた「UPPER LEVEL」と「LOWER LEVEL」の線を目視で確認します。
正常の目安: 液面が2本の線の間にあればメーカー指定の範囲内で正常です。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「バッテリ液 LOWER以下。バッテリ補充液を追加」と記入
近年の軽貨物車には密閉型(メンテナンスフリー)バッテリが搭載されている場合があります。この場合は液量の確認・補充ができない構造のため、液面確認の代わりにバッテリ本体の外観異常(ケースの膨らみ・端子部分の白い粉状の腐食)を目視で確認してください。車両のマニュアルでバッテリの種類を確認しておくと確実です。
5. ウインド・ウォッシャ液の量
確認方法: エンジンルーム内のウォッシャタンク(青いキャップが目印)側面の液面、またはキャップを外してタンク内をのぞき込んで液量を確認します。
正常の目安: タンクの概ね3分の2以上の液量があれば実用上問題ありません。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「ウォッシャ液 少量。補充済み」と記入
冬場は気温によってウォッシャ液が凍結することがあります。普通の水を入れて凍らせると、タンクやポンプのダメージにつながる場合があるため、凍結防止成分入りのウォッシャ液を使用してください。5項目の中では最も補充しやすい項目ですが、切れたまま走行するとフロントガラスの視界確保が難しくなるため、早めの補充が習慣になると安心です。
グループ2:クルマの周り(4項目)
ボンネットを閉めたら、車両の外周を一周しながら4項目を確認します。全タイヤと全ランプを確認するため、前から右回りに一周するルートが動線として合理的です。
6. ランプ類の点灯・点滅
確認方法: エンジンスイッチをオンにした状態で、ヘッドライト(ロービーム・ハイビーム)、ブレーキランプ、方向指示器(前後左右)、ハザードランプ、尾灯(テールランプ)、ナンバー灯をそれぞれ作動させて点灯・点滅を確認します。
正常の目安: すべてのランプが指定の動作通りに点灯・点滅し、レンズに割れや著しい汚れがないこと。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「右ブレーキランプ球切れ。交換後に運行」と記入
1人で確認する場合、後方のブレーキランプは白い壁や建物に反射させて点灯を確認する方法が現実的です。球切れが多い場合はLED化を検討すると交換頻度を抑えられます。なお、保安基準上も灯火装置の正常な作動は必須要件であり、球切れのまま運行することは法令違反になります。整備してから運行してください。
7. タイヤの亀裂や損傷の有無
確認方法: 4輪それぞれのタイヤ側面(サイドウォール)と接地面(トレッド面)を目視で確認します。
正常の目安: 亀裂・切れ・釘やネジ等の異物が刺さっていないこと、タイヤが著しく変形していないこと。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「右前タイヤ側面に亀裂あり。タイヤ交換後に運行」と記入
側面の亀裂(サイドカット)は走行中のバースト(破裂)につながる重大な損傷です。接地面の釘刺さりはスローパンクチャーの場合もあるため、空気は抜けていなくても異物を発見したら整備工場で確認してもらいましょう。荷物を多く積む軽貨物車はタイヤへの負荷が大きいため、タイヤの外観変化に日々目を向けることが重要です。
8. タイヤの空気圧
確認方法: タイヤゲージを使って4輪すべての空気圧を測定します。タイヤゲージがない場合は、接地面のたわみ量を目視で確認する方法もありますが、数値による確認が望ましいです。
正常の目安: 運転席ドアの内側(ドアを開いた開口部)または燃料給油口のラベルに記載されているメーカー指定の空気圧の範囲内であること。軽貨物車(軽バン)では前輪・後輪とも350kPa前後が多いですが、車種・積載状態によって異なります。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「右後ろ 280kPa(指定350kPa)。補充後350kPaに調整」と記入
空気圧の単位には「kPa(キロパスカル)」と「kgf/cm²(旧単位)」の2種類があります。ラベルに「2.50」と記載されている場合は kgf/cm² 表記(= 約245kPa)なので、単位を混同しないよう注意が必要です。タイヤゲージの表示単位がラベルと一致しているか確認してから測定しましょう。空気圧の過不足は燃費・タイヤ寿命・操縦安定性に直結します。
9. タイヤの溝の深さ
確認方法: タイヤ側面にある三角マーク(▲)を探し、そのマークが指す接地面の位置(スリップサイン)と接地面の溝の深さを目視で確認します。
正常の目安: 溝の深さが1.6mm以上あること。スリップサインが接地面と同じ高さになっていないことを確認します。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「右後ろ残溝約1.5mm(スリップサイン接触)。タイヤ交換後に運行」と記入
タイヤの溝の深さ1.6mm以上は、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第89条で定められた法定基準です。スリップサインが接地面と同一になった状態で運行した場合は保安基準違反となるため、整備してから運行してください。残溝が2mm程度になったら早めの交換を検討しましょう。なお、二輪車の基準は0.8mmと異なります。
グループ3:運転席(6項目)
外周確認が終わったら運転席に乗り込み、エンジンを始動させながら6項目を確認します。エンジンを実際にかけて動作を確認する項目が含まれるため、このグループは最後に行うのが効率的です。
10. エンジンのかかり具合・異音
確認方法: エンジンを始動させ、かかり具合(スターターの回り方・始動までの時間)と、始動後のアイドリング中の音・振動を耳と体で確認します。
正常の目安: 1〜2回のクランキングでスムーズに始動し、アイドリング時に異音(カラカラ・ゴトゴト・キーキーなど)や大きな振動がないこと。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「始動後にカラカラ音あり。整備工場に点検依頼」と記入
真冬の冷間時はセルモーターの回りが若干重くなることがありますが、問題なく始動すれば正常の範囲内です。スターターが何度もクランキングしてもなかなかかからない場合や、アイドリングが不安定で頻繁にエンストする場合は、バッテリ・スパークプラグ・燃料系の点検が必要です。
11. ウインド・ウォッシャ液の噴射状態
確認方法: ウォッシャレバー(ウィンカーレバーまたは専用レバー)を操作してウォッシャ液を噴射させ、フロントガラスへの噴射方向と液量を確認します。
正常の目安: ワイパーの拭き取り範囲に向かってウォッシャ液が均一に噴射されること。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「左側ノズル詰まり。ピンで開通後、正常噴射を確認」と記入
ノズルの詰まりは、細い針金や縫い針でノズルの穴をそっと突いて開通させると解消できることがあります。噴射角度がずれている場合も同様に針で調整できます。グループ1の項目5(ウインド・ウォッシャ液の量)でタンクに液があることを確認しているにもかかわらず噴射されない場合は、ポンプの故障の可能性があります。
12. ワイパーの拭き取り能力
確認方法: ウォッシャ液を噴射した状態でワイパーを LOW速・HIGH速それぞれで動作させ、ガラス面の拭き残しや拭きムラがないかを確認します。
正常の目安: ガラス面全体が均一に拭き取れ、拭きムラ・拭き残し・ビビリ音がないこと。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「ゴムの劣化で拭きムラあり。ワイパーブレード交換後に運行」と記入
ワイパーゴムは紫外線や乾燥で劣化し、拭きムラやビビリ音が出るようになります。目安として半年〜1年に1回のブレード交換を検討しましょう。雨の日に視界が確保できなければ安全運転に直結するため、拭き取り不良はその日の運行前に交換してから出発することが望ましいです。
13. ブレーキの踏み残りしろと効き具合
確認方法: ブレーキペダルをゆっくり踏み込み、ペダルが床板に届く前に止まる「踏み残りしろ」があるかと、踏み込んだときの効き具合(確実に制動がかかるか)を確認します。
正常の目安: ペダルが床板に届かず、踏み込みに応じて確実に制動が感じられること。ペダルを素早く数回踏んでも踏み残りしろが確保されていること。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「踏み残りしろが浅くなっている。整備工場に点検・整備依頼。整備完了後に運行」と記入
ペダルが床板近くまで沈む、スカスカして踏んだ感触がない、またはペダルを踏んでいるのに車両がなかなか減速しない場合は重大な不具合です。この場合は整備が完了するまで運行してはいけません。ブレーキは車両の安全に直結する最重要装置のひとつです。
14. 駐車ブレーキの引きしろ(踏みしろ)
確認方法: 駐車ブレーキレバー(引き上げ式)または駐車ブレーキペダル(踏み込み式)を操作し、引きしろ・踏みしろと効き具合を確認します。
正常の目安: レバーを引ききる前(概ね5〜8ノッチ程度)に確実に制動がかかり、坂道で車両が動き出さないこと。メーカー指定の操作量の範囲内が正常の目安です。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「最大まで引いても坂で車両が動く。ワイヤー調整が必要。整備工場依頼後に運行」と記入
レバーを最後まで引いてもブレーキが効きにくい場合は、ブレーキワイヤーの伸びや後輪ブレーキシューの摩耗が考えられます。駐車中に車両が動き出す事故は重大な結果を招くため、異常を確認したら整備工場で調整・修理してから運行してください。
15. エンジンの低速・加速状態
確認方法: エンジンが暖機した状態でアイドリングの安定性を確認し、徐々にアクセルを踏み込んで加速時の挙動(スムーズに回転が上がるか、引っかかりやもたつきがないか)を確認します。敷地内や駐車場を1〜2分走って試走するとより確実に確認できます。
正常の目安: アイドリングが安定していて息つきがなく、アクセル操作に対してスムーズに加速すること。
記入例:
- 正常時: 「良」または「○」
- 異常時: 「否」または「×」とし、所見欄に「加速時に息継ぎあり。整備工場に点検依頼。整備後に運行」と記入
低速でのもたつきや息継ぎはスパークプラグ・燃料フィルター・エアフィルターの劣化が原因の場合が多いです。荷物を積載した状態での加速が大幅に悪化している場合は、エンジン本体または動力系の点検が必要なこともあります。試走のタイミングに乗せて確認すると、業務開始前の点検ルーティンに無理なく組み込めます。
「否(不良)」があった場合の扱い
ここで「否(不良)」があった場合の扱いを補足しておきます。道路運送車両法第47条の2第3項は、点検結果が保安基準に適合しない(または不適合のおそれがある)状態のときは「保安基準に適合させるための整備をしなければならない」と定めています。つまり、軽微な不良(ウォッシャ液不足など)は補充して整備完了、ブレーキ不良などは整備工場で修理してから運行する、というのが法令の建付けです。「否があったら即廃車」ではありません。なお、整備の完了をもって運行可能となるという理解で十分で、「再点検」が法令上明記されているわけではないため、本記事では「整備してから運行」という表現を用います。
5. 記録簿への実際の書き込みサンプル

第4章では15項目それぞれの確認方法と記入例を見てきました。この章では、実際に記録簿へどう書き込むかを「通常日」と「異常があった日」に分けてサンプルで示します。「どこまで書けばいいかわからない」という不安がある方も、ここを読めば迷いがなくなります。
「良(異常なし)」の日の書き方
結論から言うと、異常がなかった日の記録は非常にシンプルです。全15項目の欄に「良」または「○」のチェックを入れ、所見欄は空欄のままにして、日付・車両番号・実施者名を記入して完成です。それ以上の記述は必要ありません。
「毎日びっしり書かないといけないんじゃないか」と感じるかもしれませんが、それは誤解です。日常点検記録の目的は「点検を実施したこと」と「その結果」を残すことであって、異常がなかった事実を長文で説明することではありません。
この考え方は点呼記録の所見欄とまったく同じです。平常日の所見欄は「異常なし」の一言か、あるいは空欄で問題ありません。日常点検記録も同じ運用思想で、異常がなかった日にいちいち説明文を書く必要はないのです。
通常日の記入例
日付: ○月○日
車両番号: ○○○○
実施者: 氏名
グループ1(エンジンルーム): 全項目 良
グループ2(クルマの周り): 全項目 良
グループ3(運転席): 全項目 良
所見欄: (空欄)
「否(異常あり)」があった日の書き方
いずれかの項目で異常が見つかった場合は、該当項目に「否」または「×」と記入し、所見欄に「状況・対処内容」を具体的に書きます。
所見欄に記載すべき内容は大きく3点です。
- どの項目で何が異常だったか(状況)
- どう対処したか(対処)
- 運行可否の判断(整備して運行したか、整備依頼のため運行中止にしたか)
道路運送車両法第47条の2第3項は、点検の結果として保安基準に適合しなくなるおそれがある状態、または適合しない状態にあるときは、保安基準に適合させるために必要な整備をしなければならないと定めています。「否」があったからといって即座に廃車や長期運行停止になるわけではなく、整備して基準を満たせば運行できます。ただし、整備が完了してから運行に入ることが前提です。
記入例①: 軽微な不良・自己対処で解決した場合
日付: ○月○日
車両番号: ○○○○
実施者: 氏名
グループ2(クルマの周り):
タイヤの空気圧: 否
所見欄:
右後輪の空気圧が低下(約200kPa)。規定値(230kPa)まで補充。
整備後、保安基準適合状態を確認。通常運行。
記入例②: 整備工場への依頼が必要な場合
日付: ○月○日
車両番号: ○○○○
実施者: 氏名
グループ3(運転席):
ブレーキの踏み残りしろと効き具合: 否
所見欄:
ブレーキペダルの踏みしろが深く、床まで沈む感触あり。
自己対処での整備は不可と判断。整備工場へ連絡、本日の業務は中止。
翌○月○日に修理完了確認後、運行再開予定。
「再点検してから運行する」という書き方は条文上の根拠がないため避けましょう。あくまで「整備してから運行する」という表現が正確です。軽微な不良(ウォッシャ液の量が少ないなど)はその場で補充すれば運行できますが、ブレーキや操舵装置など安全に直結する不良は整備完了まで実質的に運行を停止することになります。
所見欄の使い方
所見欄は「異常時のみ具体的に記載する」が実務上の標準です。
異常がなかった日に「全項目異常なし」「本日も問題ありませんでした」と書く必要はありません。15項目すべてに「良」が入っていること自体が、異常がなかった記録になっています。所見欄は、全項目「良」の日は空欄のままで問題ありません。
これは点呼記録の所見欄(「気になること」「特記事項」の欄)と同じ考え方です。点呼記録の書き方でも説明しているとおり、所見欄は「記録すべき事象があった日だけ書く欄」です。日常点検の所見欄も同様で、異常があった日にのみ状況・対処・判断を簡潔に記載すれば十分です。
法令上の様式指定はないため(第6章で詳しく述べます)、所見欄の書式は自由様式で構いません。「状況 / 対処内容 / 運行可否」を1〜3行程度でまとめるスタイルが、監査時にも読みやすく、日常的にも書きやすい形です。
配布するPDF雛形について
日常点検記録簿の様式は法令上の指定がなく、自由様式が使えます。本記事の末尾で配布するPDF雛形は、delilog アプリの実際の出力フォーマットと同じ様式を採用しました(国土交通省の15項目チェックシートに準拠)。
1ヶ月を「前半(1〜15日)」「後半(16〜31日)」の2枚で記録する形式になっています。1枚に半月分の点検結果を一覧化できるため、1日1枚ずつ印刷する必要がなく、年間でも24枚で済みます。さらに横軸に15項目・縦軸に日付を並べた表形式のため、月の中で見落とした日や、特定の項目に異常が続いていないかを後から見返しやすい構造です。
紙で運用したい方はそのままダウンロードして印刷でき、アプリに移行する場合も同じ様式の出力が delilog から得られるため、紙からアプリへの切り替え時に違和感がありません。第8章末尾の「無料PDF雛形をダウンロードする」から入手できます。
6. 記録方法の選び方:紙・Excel・アプリを比較する
点検そのものの義務と、記録の保存義務が整理できたところで、次は「どうやって記録するか」の選択肢を整理しましょう。法令上は紙でも電子記録でも認められていますが、毎日続けることを考えると選択肢の特徴を把握しておくことが大切です。
紙(PDF雛形を印刷して使う)
本記事の末尾から無料でダウンロードできるPDF雛形を印刷して使う方法です。
メリット: 初期コストは印刷用紙とプリンターだけ。インターネット接続も不要で、ITが苦手な方でも今日すぐに始められます。紙に慣れているドライバーさんにとっては、最も心理的ハードルが低い方法です。
デメリット: 本記事で配布するPDFは月前半・月後半の2枚で1ヶ月分(年24枚)に抑えられますが、それでも1年分の書類を湿気・水濡れ・紛失のリスクから守る保管場所が必要です。また過去の記録を検索することはできないため、「あの日はどうだったか」を確認したいときは1枚ずつめくるしかありません。
最初は紙から始めて、記録を続けることに慣れてきた段階でアプリに移行する流れもよく選ばれます。
Excel テンプレートで記録する
Excelで日常点検記録を管理する方法です。ただし、ひとつ重要な点を先にお伝えします。
国土交通省は、日常点検記録のExcelテンプレートを公式配布していません。
国交省の制度改正ページでは業務の記録(運行記録)や事故記録についてはExcel様式例を公開していますが、日常点検記録についてはPDF形式の t_checklist.pdf(15項目チェックシート)のみです。「国交省公式の日常点検Excelシートがある」という情報を見かけることがありますが、それは事実ではありません。Excelで日常点検記録を管理したい場合は、市販のテンプレートを購入するか、Excelで自作することになります。
自作Excelの実務上の制約: 業務中にスマートフォンでExcelを開いて記録するのは操作しづらく、多くの場合「後でPCで入力する」という運用になりがちです。しかし点検は業務開始前に行うものであり、点検直後に記録しないと記憶の正確性も下がります。「業務の合間にPCを開ける状況でないと難しい」という実務上の制約は、選ぶ前に確認しておきましょう。
アプリで記録する(delilog 無料プランの紹介)
スマートフォンアプリを使う方法です。
delilog の日常点検機能(国交省公式の15項目チェックリスト)は無料プランで利用できます。プレミアム機能ではありませんので、アプリをインストールすればすぐに無料で始められます。
業務開始前にアプリを開き、表示される15項目を順番にタップするだけで点検記録が完成します。紙にチェックを入れる感覚と大きく変わらず、慣れれば1〜2分で完了します。
点呼記録との連動: 業務前点呼の確認4項目のうち1つが「車両の日常点検の実施又はその確認」です。delilog では日常点検と点呼記録が同じアプリ内で管理できるため、「点検済みか」の確認から点呼記録への入力まで画面を切り替えることなく完結します。
電磁的記録の法令上の取り扱い: アプリで記録した内容(電磁的記録)は、書面と同等の記録として法令上認められています。国交省の貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈・運用通達では「書面又は電磁的方法による記録・保存のいずれかでも差し支えない」と明示されています。紙に印刷しなくても、アプリ内の記録がそのまま法的に有効な記録になります。
PDF出力: 必要なときはアプリからPDFとして出力できます。出力形式は国交省モデル様式に準拠しているため、運輸支局への提示や監査対応にもそのまま使えます。この機能は無料プラン・プレミアムプランの共通機能です。
なお、業務の記録(運行記録)はプレミアム機能です。14日間の無料トライアルで試せますが、日常点検・点呼記録とは別の機能区分になります。詳しくは業務の記録(運行記録)6項目の書き方をご確認ください。
どれを選ぶ?

5つの軸で3つの記録手段を比較します。
| 比較軸 | 紙(PDF印刷) | Excel | アプリ(delilog) |
|---|---|---|---|
| 初期コスト | プリンター・用紙のみ | Excel代金(自作の場合は無料) | 無料 |
| 保管スペース | 必要(年24枚) | クラウド保存可 | クラウド保存 |
| 検索性 | 低い(手作業でめくる) | 中(ファイル内検索) | 高い |
| 点呼記録との連動 | 別管理 | 別管理 | 同一アプリ内で連動 |
| スマホ対応 | 不可 | 入力しづらい | 最適化済み |
法令上は紙でも電磁的記録でも有効です。紙から始めることも選択肢として正当です。ただし、日常点検と点呼記録を同じ手段で一元管理できるかどうかという視点で考えると、両方を同一アプリ内で扱えるアプリが現実的な負荷として最も低くなります。
「まずは紙で始めて、継続できることを確認してからアプリに移行する」という段階的な方法でも構いません。大切なのは、どの手段であれ業務開始前に毎回記録を残すことです。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 日常点検は本当に「毎日」やらないといけないのか?
結論: はい、運送業務を行う日は毎日(運行開始前に1回)が法令上の義務です。
道路運送車両法第47条の2第2項は、事業用自動車(軽貨物の黒ナンバーを含む)について「一日一回、その運行の開始前において」点検することを義務として定めています。「実務上の推奨」や「やっておくと安全」という話ではなく、法令上の義務です。
ここで少しわかりにくいのが、国交省のリーフレットにも使われている「走行距離や運行時の状態等から判断した適切な時期に」という表現です。これは同条第1項(自家用車・マイカー向け)の文言であり、軽貨物事業者(黒ナンバー)には、より厳格な第2項「一日一回、その運行の開始前において」が適用されます。リーフレットの表現に引きずられて「週に数回でよい」と解釈してしまうと、法令違反になりますので注意してください。
補足として、業務をしない日(休業日など、そもそも運行しない日)については点検義務は発生しません。正しい理解は「運行する日は必ず1回・運行前に」です。
Q2. 記録簿は何年保存すれば良いか?
結論: 1年保存です。
日常点検の記録は、貨物軽自動車運送事業輸送安全規則に基づき、1年間の保存が求められています。
点呼記録・業務の記録(運行記録)と同じ1年保存です。保存期間が統一されているため、「日常点検の記録」「点呼記録」「業務の記録」を同じバインダーにまとめて綴じるか、同じアプリで一元管理すると、期限管理がシンプルになります。年度の変わり目などに一括で過去の記録を処分・整理するルーティンをつくっておくと管理が楽になります。
Q3. チェックで「否」があったら、その日は運行禁止になるのか?
結論: 「否」があったら整備して保安基準に適合させてから運行することが必要です。
道路運送車両法第47条の2第3項は、点検の結果、保安基準に適合しなくなるおそれがある状態または適合しない状態にあるときは、必要な整備をしなければならないと定めています。「否」があったらすぐ廃車・絶対運行禁止というわけではなく、整備によって基準を満たす状態に戻してから運行することが法令の求めです。
たとえばウォッシャ液が不足していた場合は補充すれば運行可能ですし、電球1個が切れていた場合も交換すれば問題ありません。一方、ブレーキに深刻な不具合がある場合は、整備が完了するまで実質的に運行を止める必要があります。
なお、整備したあとの「再点検が法令上義務」とは条文に直接明示されていません。法令の構造としては「不具合があれば整備せよ」であり、整備して基準を満たした状態になれば運行可能ということです。記録簿には「否」と書いた項目の状況と対処内容を所見欄に残しておくと、後から見返したときにも経緯が分かります。
Q4. 点呼記録との違いは何か?
役割が異なります。簡単に整理すると以下の通りです。
- 日常点検: 車両の物理的な状態を確認する(エンジン・タイヤ・ブレーキ・ライトなど)
- 点呼記録: ドライバー自身の状態を確認する(アルコール検知結果・体調・運行指示の受け取り)
目的は違いますが、両者には重要な接点があります。2025年4月施行の安全対策強化により、業務前点呼の確認事項4項目のうちの1つが「車両の日常点検の実施又はその確認」と法令上定められています。つまり業務前点呼の際に「今日、日常点検はしましたか」という確認が求められているため、日常点検の記録が点呼の前提として必要になります。
流れとしては「日常点検を実施・記録する → 業務前点呼で『日常点検済み』と確認する → 点呼記録に残す」という順序になります。
点呼記録の書き方や確認事項4項目の詳細については、点呼記録、何を書けばいい?法令要件と具体的な記入例で解説しています。
Q5. 様式は国交省の様式を使わなければいけないか?
結論: 法令上は様式の指定はなく、自由様式を使うことができます。
国交省が公開している t_checklist.pdf(15項目チェックシート)は「様式例」として位置づけられており、法定様式(法令上使用が義務付けられた様式)ではありません。国交省の制度改正ページでも「上記は様式例のため、提出先の運輸支局から別途様式の指定があった際にはその指示に従ってください」と案内されており、独自様式の使用が前提とされています。
ただし注意が必要です。様式は自由でも、記録すべき内容(点検項目)は法令で定められています。「ブレーキ液の量」「タイヤの空気圧」など15項目をすべて網羅していることが必要であり、項目を省略した様式を使っていると、記録として不十分と判断される可能性があります。
本記事で配布しているPDF雛形は独自様式ですが、国交省の15項目チェックシートに準拠して作成しています。アプリ(delilog)の出力様式も同様です。いずれも15項目を網羅していますので、そのまま使っていただけます。
Q6. アルコールチェックと日常点検は同じタイミングでやるべきか?
セットで行うのが実務的に最も効率的です。
業務前点呼の確認事項には「アルコール検知器の使用・酒気帯びの有無の確認」と「車両の日常点検の実施又はその確認」がいずれも含まれています。つまり法令の構造として、アルコールチェックと日常点検はどちらも業務前点呼の一部として位置づけられており、自然と同じタイミングで行う設計になっています。
実務上のおすすめルーティンとしては、「アルコール検知器で測定する → 体調確認をする → 日常点検を実施する → 運行指示の内容を確認する → 出発」という流れを固定化すると、抜け漏れが起きにくくなります。
この一連の流れをスマートフォンアプリ1つで完結させることもできます。delilog では点呼記録と日常点検チェックが同じアプリ内で連動しているため、業務前の流れをひとまとめに管理できます。
Q7. スマホアプリで記録した場合、紙への印刷は必要か?
結論: 電磁的記録(アプリへの保存)は法令上認められており、紙への印刷は義務ではありません。
貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈・運用通達において「書面又は電磁的方法による記録・保存のいずれかでも差し支えない」と明示されています。スマートフォンアプリで記録・保存することは、紙への記録と同等のものとして扱われます。
ただし一点注意があります。運輸支局などによる監査の際には「いつでも記録を提示できる状態」であることが求められます。アプリを使っている場合は、PDF出力でその場で提示できる状態にしておくことが重要です。クラウド保存されていれば端末の機種変更にも対応できます。紙に印刷して別途保管する必要はありませんが、「提示できる仕組み」は用意しておきましょう。
8. まとめ:今日から始める日常点検の記録
この記事では、軽貨物事業者(黒ナンバー)の日常点検について、法令の根拠から15項目の内容、具体的な書き方、記録方法の選び方まで解説してきました。最後に、今日から始めるための3つのステップでまとめます。
ステップ1:15項目の3グループを頭に入れる
国交省公式の15項目は「エンジンルーム(5項目)」「クルマの周り(4項目)」「運転席(6項目)」という3グループに分類されています。場所ごとにまとめて確認できるので、「エンジンルームを開けて5項目チェック → 車の外周を一周しながら4項目チェック → 運転席に乗り込んで6項目チェック」というルーティンを固定化すると、抜け漏れが起きにくくなります。
15項目の内容と各項目の確認方法は、第3章・第4章の解説を参考にしてください。一度内容をつかんでしまえば、毎日の作業は数分で終わります。
ステップ2:記録手段を選ぶ
「今日から始める」という観点では、まずどの手段で記録するかを決めることが大切です。
- とりあえず試したいなら、本記事のPDF雛形を印刷して使うのが最も手軽です
- 長く続けたいなら、スマートフォンアプリが現実的です。印刷・保管の手間がなく、業務前のすきま時間にその場で記録できます
紙・Excel・アプリそれぞれの特徴と使い分けの考え方は、第6章の比較表をご参照ください。
ステップ3:点呼記録と一体化して、業務前の儀式にする
日常点検を毎日続けるコツは、点呼記録と一体化して「業務前の一連の流れ」として固定化することです。「アルコール検知器で測定する → 体調確認 → 日常点検 → 運行指示の確認 → 出発」という流れを繰り返せば、自然と習慣になります。
業務前点呼の確認事項4項目に「車両の日常点検の実施又はその確認」が法令上含まれているため、この一体化は義務の構造とも合致しています。毎日の業務前に同じ流れで動くだけで、法令義務をすべて満たせる仕組みが作れます。
無料PDF雛形をダウンロードする
紙で始めたい方は、以下のPDF雛形をご利用ください。国土交通省の15項目チェックシートに準拠した内容で、印刷してその日からすぐに使えます。
- 日常点検チェックシート(PDF・2ページ)をダウンロード — 月の前半(1〜15日)と後半(16〜31日)の2枚で1ヶ月分が完結
A4縦・1ファイル2ページの構成で、年間でも24枚(月2枚 × 12ヶ月)で済みます。本PDFは delilog アプリの実際の出力フォーマットと同じ様式のため、後でアプリに移行する場合も違和感なく切り替えられます。
delilog で始める(無料プラン)
スマートフォンで完結したい方には、アプリでの記録がおすすめです。
日常点検は法令上の義務ですが、やり方を固定してしまえば1〜2分で終わる作業です。今日、記録の手段をひとつ決めるだけで、明日からの業務に「安全と記録の習慣」を組み込めます。まずは1枚印刷するか、アプリをインストールするところから始めてみましょう。
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参考資料
国土交通省
- 貨物軽自動車運送事業者の安全対策が強化されました(リーフレット)
- マイカーを点検しよう!日常点検15項目チェックシート
- 貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について
- 点検整備の種類
- 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第89条(タイヤ)