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軽貨物ドライバーの年収・労働時間データ【2026】月収39万以下が8割の実態

delilog編集部

軽貨物ドライバーの年収・労働時間データ【2026】月収39万以下が8割の実態

「軽貨物ドライバーって、何歳くらいの人が多いんだろう?」「年収はだいたいいくら?」「労働時間はどれくらい?」

軽貨物の世界に踏み込もうとするとき、あるいは既に走り始めて他のドライバーと自分を比べたいとき、必ず気になるのが年代・地域・年収・労働時間といった個人属性のデータです。ところが調べてみると、SNSの体験談や転職メディアの平均値はたくさん出てくる一方で、出典の辿れる信頼できる数字はなかなか見当たりません。

この記事では、国土交通省 貨物軽自動車運送事業適正化協議会の実態調査(n=772)と、厚生労働省 賃金構造基本統計調査を中心に、軽貨物ドライバーの年代・地域・年収・労働時間を整理します。

本記事の方針 数値はすべて公的機関が公表している一次資料から引用し、出典・公表年・母集団を明記します。民間ブログや転職サイトの数値は採用しません。公表されていない領域については、無理に推計せず「公表データなし」と記します。

業務形態・業界規模はこちら 軽貨物ドライバーの働き方|業務形態3類型徹底比較


1. 軽貨物の実態は、数字でどう見える?

軽貨物業界の数字を見るときに最初に押さえておきたいのは、「公的に把握されていない領域」が思いのほか多いという事実です。

軽貨物の個人事業主は、雇用労働者ではないため、厚生労働省の賃金構造基本統計調査のような大規模調査の集計対象から外れます。「軽貨物の平均年収」「軽貨物ドライバーの平均年齢」といった1点で示される数値は、公的統計には存在しない——これがスタートラインです。

代わりに使える主な一次資料は、国交省 適正化協議会の実態調査(n=772・首都圏/近畿圏・個人事業主)厚労省 賃金構造基本統計調査(雇用ドライバー)国交省 貨物自動車運送事業者数(都道府県別)の3つ。それぞれ母集団と限界があるため、数値を見る際はその点を含めて読み解いていきます。

それでは、まず年代分布から見ていきましょう。


2. ドライバーの年代分布

軽貨物ドライバーの年代分布グラフ。25歳以下から65歳以上の比率と、雇用ドライバーとの平均年齢比較

2-1. 軽貨物個人事業主の年齢分布

軽貨物の個人事業主に絞った年齢データとして、もっとも信頼性の高い一次資料は、国土交通省「貨物軽自動車運送事業適正化協議会」第2回(令和5年5月16日)で示された実態調査結果です。首都圏と近畿圏の個人事業主 n=772 を対象としたアンケート集計で、年齢分布は次のようになっています(出典: 国交省 適正化協議会 第2回 資料3「貨物軽自動車運送事業の実態調査結果」)。

年齢層 比率 概数(n=772)
25歳以下 約5% 42人
26〜40歳 約24% 187人
41〜50歳 約23% 179人
51〜64歳 約38% 296人
65歳以上 約9% 68人

最も多いのは51〜64歳の層で、全体の約38%。次いで26〜40歳と41〜50歳がほぼ同率の約23〜24%、つまり40〜60代を中心に、20代から60代以上まで幅広く分布しているのが特徴です。

ただし、この数値の使い方には注意点があります。

  • 対象地域は首都圏・近畿圏のみで、地方の実態はカバーしていない
  • 個人事業主のみが対象で、法人ドライバーや雇用ドライバーは含まれない
  • n=772 のサンプル調査であり、全国の軽貨物ドライバー全数を反映した数値ではない

「最頻層は51〜64歳」という傾向は読み取れますが、「軽貨物ドライバーの平均年齢は◯◯歳」と1点で語れる公的データは存在しないことを押さえておきましょう。

2-2. 一般トラックドライバー(雇用)との比較

比較対象として、厚生労働省の令和5年 賃金構造基本統計調査(職種小分類別)から、雇用ドライバーの平均年齢を見ておきます。母集団は「道路貨物運送業」の事業所に雇用されている運転者で、個人事業主は対象外です。

職種 平均年齢 平均勤続年数 労働者数
営業用大型貨物自動車運転者 50.6歳 13年 約43,400人
営業用貨物自動車運転者(大型を除く) 44.7歳 10年 約60,300人

(出典: 厚労省 令和5年賃金構造基本統計調査 職種小分類別第1表・男女計・10人以上規模)

大型は50代が中心、中小型は40代が中心——こちらは雇用ドライバーの数値ですが、軽貨物個人事業主の最頻層(51〜64歳)と並べると、全体として「40〜60代が運送業の中核」という共通点が浮かび上がります。

ただし母集団が違うため、直接の数値比較はできません。賃金構造基本統計調査の「営業用貨物自動車運転者(大型を除く)」には、職種コード上、軽貨物の雇用ドライバーが一部含まれている可能性はありますが、個人事業主の軽貨物ドライバーはそもそも統計の対象外です。

2-3. 軽貨物が「30〜50代の独立組」を多く抱える背景

数字の傾向だけ見ると、軽貨物は「30〜50代の中堅世代」が中心の世界です。これは、ネット通販が拡大した2010年代後半〜2020年代前半に他業種からの独立組として参入した層が一定数いる構造を反映していると考えられます。

  • 30代: 早期に独立を選んだ層、副業として始めた層
  • 40〜50代: キャリアチェンジでの参入、定年後の準備としての独立
  • 60代以上: 体力面で大型を退いて軽貨物に移った層、定年後の継続

ただし、この「背景の解釈」は公的統計からは直接読み取れません。サンプル調査の年齢分布から推測される定性的な像として捉えてください。

2-4. 女性ドライバーの比率について

「軽貨物には女性ドライバーがどれくらいいるのか」という質問もよくいただきますが、軽貨物に特化した女性比率を公表した一次資料は見当たりません。賃金構造基本統計調査では「営業用大型貨物自動車運転者」の女性労働者数 約1,100人(全体の2.5%)といった数字はあるものの、これは大型のみ。軽貨物の女性比率は、現時点で公的データとしては存在しない領域です。

2-5. この章のまとめ

  • 軽貨物個人事業主の年齢分布は、51〜64歳が約38%で最も多く、26〜50歳で全体の約47%(出典: 国交省 適正化協議会 R5実態調査・首都圏/近畿圏 n=772)
  • 比較対象の雇用ドライバーは大型50.6歳・中小型44.7歳が平均(出典: 厚労省 令和5年賃金構造基本統計調査)
  • ただし軽貨物に限定した全国平均年齢の公的統計はなく、女性比率も公表されていない
  • 数字の傾向としては「40〜60代の独立組」が中核を占めると読めるが、これはサンプル調査ベースの解釈

3. ドライバーの地域分布

軽貨物事業者の地域分布マップ。首都圏4都県で全国の37%、三大都市圏7都府県で約56%を占める偏在構造

軽貨物の事業者は、全国にどんな偏りで分布しているのでしょうか。ここでは国土交通省 物流・自動車局が公表している「貨物自動車運送事業者数(運輸支局別)」令和7年3月31日現在の数値をもとに整理していきます。事業者数は全国で約25万者(正確には250,391者)で、そのうちの圧倒的多数が貨物軽自動車運送事業者です。

「事業者数」と「ドライバー人口」は別物です 1事業者あたり1台保有・1人で運営しているケースが多数派とはいえ、複数台・複数人を抱える法人もあるため、事業者数 ≒ ドライバー人口の規模感として読むのが安全です。本章では地域偏在の構造を見るために、事業者数ベースで比較しています。

3-1. 都道府県別 事業者数 上位8

運輸支局別データから、貨物軽自動車運送事業者数の上位を抜き出すと次のようになります(出典: 国交省 物流・自動車局「貨物自動車運送事業者数(運輸支局別)」令和7年3月31日現在)。

順位 都道府県 事業者数
1位 東京 30,852者
2位 埼玉 23,659者
3位 神奈川 21,968者
4位 大阪 18,962者
5位 愛知 16,873者
6位 千葉 16,754者
7位 兵庫 11,683者
8位 福岡 10,319者

東京が突出して多く、続いて埼玉・神奈川・大阪・愛知・千葉と、三大都市圏(首都圏・関西圏・中京圏)の中核都府県が上位を占めます。

3-2. 首都圏4都県のシェア

首都圏4都県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の合計を計算してみます。

東京 30,852 + 埼玉 23,659 + 神奈川 21,968 + 千葉 16,754 = 93,233者

全国 250,391者に対する比率は、約37.2%全国の軽貨物事業者の3分の1超が首都圏4都県に集中している計算です。

これに関西2府県(大阪・兵庫)と中京の愛知を加えると:

  • 三大都市圏の主要都府県7都府県合計 = 約140,800者
  • 全国比 = 約56%

つまり全国の軽貨物事業者のうち、半数以上が三大都市圏に集中していることになります。

3-3. 地方政令市・その他の地域

上位8の次の層には、北海道(札幌支局 約7,700者)、京都(約4,900者)、茨城(約4,800者)、宮城(約4,300者)といった、地方の政令市や都市圏を抱える県が並びます。

ここから先は、人口が少ない県では事業者数も小規模になっていく構造です。九州・東北・四国・北陸の各県は、それぞれ数百〜数千者規模で、全国合計に対する比率としては小さいものの、地域内の物流を支える役割を担っています。

3-4. なぜ首都圏に集中するのか(背景)

数字そのものは公的統計から取れますが、「なぜ集中するのか」は定性的な解釈になります。一般的に挙げられる要因は次の通りです。

  • BtoC-EC市場の規模: 経産省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によれば、2024年の国内BtoC-EC市場規模は約26.1兆円(前年比+5.1%)。物販系のEC化率は9.8%で、ネット通販の配送需要は人口密度が高い地域ほど集中する
  • 大手宅配・運送事業者の物流拠点が首都圏に集中しており、継続委託や下請けの案件量が多い
  • マッチングプラットフォームの稼働も首都圏が中心で、案件供給と需要のマッチング機会が地方より多い

これらは公的統計から直接導かれる結論ではありませんが、「都市部に事業者が偏る理由としてEC需要・案件供給量の差が大きい」という傾向は、データの集中度合いと整合的に読み取れます。

3-5. 地域別の収入比較は公的データなし

「地方と都市部で年収はどれくらい違うのか」という疑問は当然出てきますが、地域別の平均運送収入を集計した一次資料は存在しません。事業者数の偏在は本章で見た通り公的データから把握できますが、それぞれの地域でドライバーがいくら稼いでいるかという情報は、現時点では公表されていない領域です。

地方の実態は、契約先・走行距離・案件タイプで大きく変わります。「地方は単価が高い/安い」と一般論で語る記事は多いものの、いずれも一次資料に基づく数値の裏付けはないため、本記事では数字での比較は避けます。

3-6. この章のまとめ

  • 全国の軽貨物事業者数は約25万者(出典: 国交省 令和7年3月末)
  • 首都圏4都県(東京・埼玉・神奈川・千葉)だけで全国の約37%
  • 三大都市圏(首都圏・関西圏・中京圏)合計で全国の半分以上
  • 地域別の運送収入を比較した一次データは存在せず、地方の実態は定性的な整理にとどまる

4. 年収・労働時間の実態

軽貨物ドライバーの月収・労働時間分布図。月収39万円以下が80〜90%、改善基準告示遵守率61%などの実態

「軽貨物の年収って、結局いくらなんだろう?」——おそらくこの記事で最も知りたい人が多いテーマです。ただ、ここは最も慎重に書く必要のある章でもあります。最初に大事なことをお伝えしておきます。

公的統計には、軽貨物個人事業主の「平均年収」を1点で示した数値はありません ネット上で出回る「軽貨物の平均年収◯◯万円」という固定数値は、公的な集計に基づくものではないケースがほとんどです。本記事では、入手可能な一次資料の範囲で月収の分布として整理し、無理に「平均年収」を作らない方針を取ります。

4-1. 軽貨物個人事業主の月収分布(適正化協議会 R5実態調査)

唯一信頼できる一次資料が、国土交通省 貨物軽自動車運送事業適正化協議会 第2回(令和5年5月16日)の実態調査結果です。首都圏と近畿圏の個人事業主 n=772 を対象としたアンケートから、月収の分布が次のように示されています(出典: 国交省 適正化協議会 第2回 資料3)。

期間 月収の特徴
通常期 月収39万円以下が 80〜90%
閑散期 月収39万円以下が 80〜90%(通常期と同水準)
繁忙期 月収50万円以上が 約16%

通常期は8〜9割が月収39万円以下、繁忙期に伸びる人は一部、という分布構造です。仮に月収39万円が1年続くと年商468万円相当ですが、これは年間ずっと走り続けた場合の単純試算で、実態は繁閑差や休日・体調不良で変動します。

これは「売上」であって「所得」ではありません アンケートの「月収」は、売上ベース(経費を引く前の金額)である可能性が高い項目です。軽貨物個人事業主は、ガソリン・車両維持費・自動車保険・スマホ通信費などを自己負担しており、これらを差し引いた実際の手取り(所得)はさらに少なくなります。「月39万円稼いでいる=年収468万円」と単純計算しないよう注意が必要です。

4-2. なぜ「平均年収」を1点で語れないのか

軽貨物の年収を公的統計で1点に絞れない理由は、母集団の問題です。

  • 個人事業主の年収を集計した公的統計は存在しない: 国税庁の申告所得統計は業種別ではあるものの、軽貨物単独の集計はない
  • 国交省の実態調査も「月収分布」のみ: 平均値や中央値は公表されていない
  • 業務形態別(継続委託/チャーター/プラットフォーム)の年収比較も非公表: 報酬体系が混在しており、比較データを出している一次資料はない

巷でよく見る「軽貨物の平均年収400万円/500万円/300万円」といった固定数値は、転職サイトや民間ブログの独自集計であって、出典を辿れない数字も多くあります。

4-3. 雇用ドライバー(参考比較)の年収水準

参考までに、厚生労働省令和5年 賃金構造基本統計調査から、雇用ドライバー(道路貨物運送業に雇用されている運転者)の数値を見ておきます(出典: 厚労省 令和5年賃金構造基本統計調査 職種小分類別第1表・男女計・10人以上規模)。

職種 平均月給 年間賞与 推定年収
営業用大型貨物自動車運転者 約37.1万円 約39.8万円 約485万円
営業用貨物自動車運転者(大型を除く) 約33.4万円 約36.8万円 約438万円

ただしこれは「道路貨物運送業」全体の雇用ドライバーの数値であり、軽貨物の個人事業主とは母集団が異なります。比較として参考にする場合も、次の点に注意してください。

  • 雇用ドライバーは社会保険・有給休暇・賞与込みの「給与」
  • 個人事業主は売上から経費を差し引いた「事業所得」

「給与」と「売上」と「所得」は、別の指標です。同じ「年収◯◯万円」と並べても、手元に残る金額の意味は大きく違います。

4-4. 労働時間の実態(適正化協議会 R5実態調査)

軽貨物個人事業主の労働時間も、適正化協議会 R5実態調査が参考になります(出典: 国交省 適正化協議会 第2回 資料3・首都圏/近畿圏 n=772)。

1日の労働時間

時間帯 比率
9〜10時間 約18%
11〜12時間 約21%
13〜14時間 約14%

9〜12時間で約4割、13時間を超える長時間労働も14%。改善基準告示が示す1日13時間原則・15時間上限のラインを意識すると、1割強のドライバーが日常的に上限に近いところで走っている実態が見えてきます。

1週間の労働日数

日数 比率
4〜5日 約45%
6日 約37%

6日働いている層が約4割で、週休1日のペースが珍しくないことがわかります。

改善基準告示の遵守状況

「拘束時間・休息期間を遵守していない」と回答したドライバーは:

  • 全体: 約39%
  • 25歳以下: 約48%

つまり約4割のドライバーが、改善基準告示の上限を超える働き方になっている自覚がある——という、かなり踏み込んだ実態調査結果です。改善基準告示の数値や1人親方の運用は、別記事「軽貨物ドライバーの勤務時間ルール完全ガイド|改善基準告示6つの数値」で詳しく整理しています。

4-5. 雇用ドライバー(道路貨物運送業)との労働時間比較

参考までに、全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2024」によれば、トラックドライバー(雇用)の年間労働時間は全産業平均より:

  • 大型トラック運転者: 月34時間長い(年408時間長い)
  • 中小型トラック運転者: 月31時間長い(年372時間長い)

(出典: 全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2024」、ベース統計は厚労省 R5賃金構造基本統計調査)

JTAレポートの数値は「軽貨物を含まない」点に注意 全日本トラック協会のレポートで集計している「トラックドライバー」は、緑ナンバーの一般貨物の雇用運転者が対象で、軽貨物(黒ナンバー)の個人事業主は含まれていません。あくまで「全産業平均と比べると貨物運送業は月30時間以上長い」という大きな構造の参考値です。

4-6. 年収を分ける要因(定性整理)

ここまでの数値を踏まえて、軽貨物の年収を分ける要因を定性的に整理すると、次のような構造が見えてきます。

  • 拘束時間の長さ: 月収50万円超に届くのは、繁忙期や長時間稼働ができる層
  • 案件単価: 継続委託の固定報酬か、スポット便・プラットフォームの単価次第かで月収レンジが変わる
  • 取引先の多様化: 1つの取引先に依存していると繁閑の影響を受けやすく、複数取引先を組み合わせることで平準化できるケースもある
  • 地域: 首都圏は案件数が多いが競争も激しい。地方は案件単価のばらつきが大きい
  • 経費管理: 売上が伸びても経費(燃料・車両維持費・保険)が膨らめば手取りは減る

ただしこれらは、1人ひとりのドライバーの状況によって大きく変わる定性的要因です。「拘束時間を伸ばせば年収が上がる」と単純化すると、改善基準告示の上限超過や事故リスクと表裏一体になります。年収は「労働時間と単価のバランス」を取った先にある結果として捉えるのが現実的です。

4-7. この章のまとめ

  • 軽貨物個人事業主の「平均年収」を1点で示した公的統計は存在しない
  • 月収分布として、通常期は月収39万円以下が80〜90%、繁忙期に50万円以上に届くのは約16%(出典: 国交省 適正化協議会 R5実態調査・n=772・首都圏/近畿圏・売上ベース)
  • 1日の労働時間は9〜12時間で約4割、13時間超も14%、6日働く層が約4割
  • 4割のドライバーが改善基準告示の遵守ができていないと自覚(25歳以下では約48%)
  • 比較対象として、雇用ドライバー(軽貨物含まず)の年収水準は中小型で約438万円・大型で約485万円(出典: 厚労省 R5賃金構造基本統計調査)
  • 「平均年収◯◯万円」と1点で語る固定数値は、出典を辿れない孫引きであることが多く、本記事では採用しない

5. データから見える「軽貨物の今」

ここまで年代・地域・年収・労働時間の数字を見てきました。これらのデータを並べてみると、軽貨物業界には3つの構造的な特徴が浮かび上がってきます。

5-1. 中堅世代の独立組が業界を支えている

年齢分布の最頻層は51〜64歳(約38%)、26〜50歳を合わせると業界の約7割を占めます。これは他業種からのキャリアチェンジ組定年前後の独立組が業界の中核となっている構造を示唆します。

軽貨物は「黒ナンバーが取れて、軽自動車があれば始められる」参入障壁の低さが特徴ですが、それと裏腹に、人生の中堅以降に第二のキャリアとして選ばれている実態が読み取れます。

5-2. 首都圏一極集中の物流構造

事業者の37%が首都圏4都県、56%が三大都市圏7都府県に集中しています。これはBtoC-EC市場の地理的偏在と、大手宅配・運送事業者の物流拠点配置を反映した構造です。

地方在住の軽貨物ドライバーは、案件量の少なさと長距離移動の単価という両面で、都市部とは異なる戦略が必要になります。地域別の収入を比較した一次データはありませんが、「都市は案件数で稼ぐ・地方は単価と継続性で稼ぐ」という構造は、定性的に整理しておく価値があります。

5-3. 改善基準告示の遵守は4割の課題

最も踏み込んだ数字が、約4割のドライバーが改善基準告示の遵守ができていない自覚を持っているという調査結果です(25歳以下では48%)。

改善基準告示は2024年4月に改正され、1日の拘束時間13時間原則・15時間上限、連続運転4時間以内、休息期間9時間以上などの数値が定められています。労働者ではない個人事業主にも、貨物自動車運送事業法・輸送安全規則を経由して実質的に遵守が求められる規制です(詳しくは 軽貨物ドライバーの勤務時間ルール完全ガイド|改善基準告示6つの数値 を参照)。

長時間労働が業界全体の構造的課題として残っていること、そして特に若年層でその傾向が強いこと——これは業界が向き合うべき次の論点です。

5-4. 記録の整備が「実態の見える化」につながる

業務記録・点呼記録・勤務時間管理は、表向きは「法令対応のため」の作業です。ですがもう一つの側面として、自分の働き方の実態を数字で把握する手段でもあります。

「今月、自分は何時間拘束されたのか」「先月と比べて月収はどう変わったか」「繁忙期と閑散期の差はどのくらいか」——こうした実態は、記録がなければ語れません。法令対応のために始めた記録が、結果として自分の働き方を客観視する材料になる、と考えると取り組みやすいかもしれません。

業務記録の具体的な書き方は 業務の記録(運行記録)6項目の書き方と保存方法、点呼記録は 点呼記録、何を書けばいい?法令要件と具体的な記入例 を参考にしてください。


6. まとめ:自分の立ち位置を確認するために

ここまで公的データだけを頼りに、軽貨物ドライバーの年代・地域・年収・労働時間を俯瞰してきました。最後に、本記事のポイントを整理します。

数字のサマリ

  • 年代: 軽貨物個人事業主の最頻層は51〜64歳(約38%)、26〜50歳まで含めると業界の約7割
  • 地域: 首都圏4都県で全国の約37%、三大都市圏で約56%を占める偏在
  • 月収: 通常期は月収39万円以下が80〜90%、繁忙期50万円以上は約16%(売上ベース)
  • 労働時間: 1日13時間超が14%、週6日勤務が約37%、改善基準告示の遵守状況は約4割が課題
  • 比較値: 雇用ドライバーの年収水準は中小型約438万円・大型約485万円(軽貨物個人事業主とは母集団違い)

公表データがない領域

業務形態別の年収、女性ドライバー比率、Amazon Flex 等のプラットフォーム登録者数、地域別の収入比較——いずれも一次資料には存在しません。巷で流通する「軽貨物の平均年収◯◯万円」のような固定数値は、出典をたどれないものが多く、自分の働き方を考える材料にする際は注意が必要です。

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よくある質問(FAQ)

Q. 求人広告の「月収50万円可」という表記は信用できますか?

「月収50万円可」「日給2万円〜」のような求人広告の表記は、達成可能な上限値であることが多く、誰もが届く水準ではありません。本記事§4の月収分布で見た通り、通常期は月収39万円以下が80〜90%というのが実態です。

数字を見るときは、最低限これらを差し引いて考えるのが現実的です。

  • 拘束時間: 1日12時間 × 何日働けるか
  • 配達単価 × 個数(または日額固定): 案件の実際の報酬体系
  • 経費: ガソリン・車両維持費・自動車保険・スマホ通信費など
  • 車両ローン: 購入のためにローンを組んでいれば、毎月の返済も差し引く

「月収」が売上ベース(経費引き前)なのか所得ベース(手取り)なのかも、求人広告ごとに違うので注意してください。

Q. 自分が軽貨物業界の中でどのポジションか、判断するコツはありますか?

結局のところ、契約先・拘束時間・稼働量・地域の組み合わせで千差万別になるため、「平均と比べてどう」を厳密に語るのは難しいのが実情です。

最終的には、自分が納得できる収入と働き方になっているかを判断軸にするのが現実的です。とはいえ、業界の相場感覚を持っていないと「自分だけ条件が悪い」のに気づけないリスクもあります。本記事の月収分布(通常期は月収39万円以下が80〜90%)や労働時間分布(13時間超が14%)と、自分の実際の数字を照らし合わせることから始めてみてください。

Q. 業界全体の動向を把握する一次情報源はどこですか?

本記事で実際に参照したのは、次の一次資料です。

  • 国土交通省 貨物軽自動車運送事業適正化協議会 配布資料(不定期、実態調査結果を含む)
  • 国土交通省 物流・自動車局 貨物自動車運送事業者数(運輸支局別)(年次更新)
  • 厚生労働省 賃金構造基本統計調査(年次・職種別)
  • 全日本トラック協会 日本のトラック輸送産業 現状と課題(年次刊行・※軽貨物は含まない点に注意)
  • 経済産業省 電子商取引に関する市場調査(毎年8月頃公表・BtoC-EC市場規模)

これらは検索すれば公式サイトで無料公開されています。本記事末尾の「参考資料」にURLをまとめているので、最新版のチェックにご活用ください。民間サイトの解説より、まず一次資料の表紙を眺めてみることをおすすめします。


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