業界実態軽貨物相場単価業務形態

軽貨物の単価・月収相場【2026最新】出前館400円〜/赤帽5000円〜の実額と手取り早見

delilog編集部

軽貨物の単価・月収相場【2026最新】出前館400円〜/赤帽5000円〜の実額と手取り早見

「軽貨物の月収50万円って、本当に達成できるの?」「Amazon Flex の時給はいくら?」「赤帽の料金表が相場の目安って聞くけど、自分の案件と全然違う気がする」

軽貨物の世界に踏み込もうとするとき、あるいはすでに走り始めて他のドライバーと自分の単価を比べたいとき、必ずぶつかるのが「相場が分からない」という壁です。求人広告には「月収80万円可能」と書かれているのに、SNSでは「実際は20万円台」という声もあり、どこに自分を置けばいいのか掴みづらい。

もう一歩踏み込むと、見えてくるのは「そもそも公表されている数字が驚くほど少ない」という現実です。プラットフォームも大手宅配も、配達単価や月収の具体額を公式に出していないケースがほとんど。チャーター便(運送会社→個人事業主)の単価は大半が非公開。それでも一部の事業者は公表値を出しており、その範囲を集めれば「参考レンジ」だけは描けます。

この記事では、Amazon Flex・PickGo・Hacobell・Uber Eats・出前館・大手宅配4社・赤帽各支部・国交省の標準的運賃告示まで、一次情報の公表値だけで軽貨物の単価・月収相場を整理していきます。

本記事の方針 数値はすべて各社の公式募集要項・公表報酬体系・公表料金表から引用し、出典・公表年・取得日を明記します。体験談・転職メディアの平均値・SNSの自己申告は採用しません。「達成可能な上限値」と「平均的水準」を区別し、公表されていない領域については無理に推計せず「公表データなし」と記します。

業務形態・年代・年収の実態はこちら 業務形態の整理(継続委託・チャーター・プラットフォーム)は 軽貨物ドライバーの働き方|業務形態3類型徹底比較 を、年代・地域・年収・労働時間の実態は 軽貨物ドライバーの実態統計|年代・地域・年収・労働時間データ【2026年版】 を参照してください。本記事はシリーズ第3弾として、業務形態別の「単価・月収相場」を公表値だけで集約します。

この記事でわかること

  • プラットフォーム5社(Amazon Flex・PickGo・Hacobell・Uber Eats・出前館)が公式に公表している報酬の中身と、公表していない領域
  • 大手宅配4社(ヤマト・佐川・日本郵便・Amazon Hub Delivery)の業務委託で公式に確認できる範囲
  • チャーター便の参考レンジとして使える一次資料(赤帽の全国統一料金、国交省「標準的な運賃」告示の対象範囲)
  • 額面 → 経費 → 公租公課 → 手取りのウォーターフォール(業務形態別3パターン)
  • 「公表値」と「実額」の距離、契約前に必ず確認すべきこと

1. なぜ「軽貨物の相場」は分かりにくいのか

軽貨物の単価・月収を調べると、必ず最初にぶつかるのが「同じ業務形態のはずなのに、出てくる数字がバラバラすぎる」という違和感です。求人広告は「月収80万円可能」、転職メディアは「平均月収35万円」、SNSは「手取り20万円台」。どれを信じればいいのか、最初の一歩で立ち止まってしまう方が多いはずです。

この章では、なぜ相場が見えにくいのかという構造的な理由を、3つの角度から整理します。

1-1. 出典不明の「月収◯◯万円」が独り歩きしている

求人広告・転職メディア・SNSで流通する「月収◯◯万円」の多くは、出典が辿れない孫引きの数値であることが少なくありません。事業者がPRで使う「達成可能な上限例」が、二次・三次拡散される過程で「平均値」として扱われ、さらに別のメディアに再引用される——という連鎖が起きています。

軽貨物に限らず個人事業の世界では、「月収50万円」「年収800万円」のような目を引く数字が閲覧数を稼ぐ素材として扱われがちです。一次資料に当たると「特定条件下での達成事例」と注記されているのに、転載される過程でその注記が抜け落ちる、というパターンがよくあります。

1-2. 業務形態によって単価構造が根本的に違う

そもそも、軽貨物の「単価」は業務形態によって意味が違います。

  • 継続委託(大手宅配の専属パターン): 1配達あたりの固定単価+出来高、もしくは月額固定報酬
  • チャーター(運送会社からのスポット委託): 距離別運賃・時間別運賃
  • プラットフォーム(Amazon Flex・PickGo・Uber Eats など): 1配達あたりの基本報酬+インセンティブ、もしくはブロック制(時間枠単位の固定報酬)

3類型の構造そのものが違うので、「軽貨物の単価」とひとくくりにした瞬間に、議論が成立しなくなります。業務形態の違いは 軽貨物ドライバーの働き方|業務形態3類型徹底比較 で詳しく整理しているので、本記事と併せて読むと立体的に把握できます。

1-3. 公的統計には「個人事業主の単価データ」が存在しない

実態統計の世界に目を向けると、もう一つの壁が見えてきます。

軽貨物の個人事業主は雇用労働者ではないため、厚生労働省の賃金構造基本統計調査のような大規模調査の集計対象から外れます。国土交通省 貨物軽自動車運送事業適正化協議会の第2回(令和5年5月16日)で示された実態調査結果(n=772・首都圏/近畿圏・個人事業主対象)が、唯一に近い参照可能な公的データですが、これも月収分布を捉えたもので「単価そのもの」を集計したわけではありません(出典: 国土交通省 貨物軽自動車運送事業適正化協議会 第2回 資料3、2023年)。

年収・労働時間の公的データの限界については、姉妹記事 軽貨物ドライバーの実態統計|年代・地域・年収・労働時間データ【2026年版】 で詳しく整理しています。本記事ではこの実態調査を「月収分布の参照点」として §4 で簡潔に再引用します。

1-4. 本章の結論

結論: 公表値を集めても得られるのは「平均値」ではなく「参考レンジ」です。

それでも各社の一次情報を横断的に並べることには意味があります。「事業者がどこまで公表しているか/何を公表していないか」という事実そのものが、軽貨物の相場感を理解する出発点になるからです。

次章では、本記事のスタンス——どのソースを採用し、どのソースを採用しないか——を整理します。


2. 本記事のスタンス:公表値だけで描く

ここからは、本記事の数字の扱い方を明示します。「相場」を語る記事は世の中に無数にありますが、出典基準を最初に開示しているものは多くありません。読み手が結論を判断する材料として、ソース選定基準を共有させてください。

2-1. 採用ソースと採用しないソース

本記事で採用するソースは次の通りです。

  • 各社公式の募集要項・公表報酬体系・公表料金表
  • 全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会・各都道府県組合の公表料金表
  • 国土交通省・国税庁・日本年金機構・総務省などの一次資料
  • 全日本トラック協会の公表資料
  • 自治体・公共機関の入札情報(取得できた範囲で)

一方、採用しないソースは次の通りです。

  • 体験談ブログ・転職メディアの「平均値」
  • SNSの自己申告
  • AI要約サービスが生成した二次情報
  • 求人広告に併記された「想定月収」のうち、公式採用ページで再確認できないもの

2-2. 「達成上限値」と「平均的水準」を必ず区別する

募集要項・公式広告に登場する「想定月収◯◯万円」「月収例70万円」のような数値は、達成可能な上限の事例であることが大半です。応募者が見る数字としては実用的ですが、平均値・中央値ではないことを忘れずに読む必要があります。

軽貨物ドライバーの実態統計【2026年版】 で紹介した適正化協議会R5実態調査では、通常期に月収50万円以上に届くドライバーは1割未満でした。「月収80万円可能」と書かれた募集要項の数字は、このボリュームゾーンの上に位置する事例だと理解した上で読むのが安全です。

2-3. 公表値は事業者により頻繁に変更される

報酬体系・料金表は、事業者の経営判断・物量・市場環境で更新されます。例えば Uber Eats は2026年に配達調整金を廃止し、選択制クエストを全国展開しました(出典: Uber Eats 配達パートナー向け公式ページ、2026年)。PickGo は2023年に入札制度を導入しています(出典: CBcloud 公式リリース、2023年)。

つまり、今日の公表値が来年も同じとは限りません。本記事の数値はすべて2026年4月時点の取得値であり、参考資料セクションに各URLの取得日(2026年4月)を併記しています。契約前には必ず最新情報をご自身で確認しましょう。

2-4. 本章の結論

結論: 公表値は「参考レンジ」。契約前に必ず最新情報を本人確認することが、相場を読む唯一の確実な方法です。

それでは、最も公表データが少ない領域から見ていきます。プラットフォーム型の実態です。


3. プラットフォーム型 — 何が公表されていて、何がされていないか

軽貨物の世界で「プラットフォーム型」と呼ばれるのは、ドライバーがアプリやWebサイトで案件を選び、配達ごとに報酬を得る働き方です。代表例は Amazon Flex・PickGo(CBcloud)・Hacobell・Uber Eats・出前館の5社(業務形態の定義は 軽貨物ドライバーの働き方|業務形態3類型徹底比較 を参照)。

この章で先に結論をお伝えしておきます。5社のうち、配達単価・時間あたりレンジ・手数料率といった具体額を公式に公表しているのは出前館のみです。残りの4社は「制度の枠組み」だけを公式に説明し、具体的な数字は登録後の画面、もしくは案件ごとの個別表示にとどめています。

民間ブログには「Amazon Flex 時給2,000円」「PickGo 手数料15%」のような具体的な数値がたくさん流通していますが、本記事ではそれらを公式裏付けが取れない数値として引用しない方針です。

Amazon Flex・PickGo・Hacobell・Uber Eats の4社は配達単価・時間あたりレンジ・手数料率を公式に公表していない(4社ロゴ並びに「公表なし」の表示)

3-1. Amazon Flex — 制度説明のみ、金額は公式非公表

Amazon Flex は、Amazon が直接運営する配送プラットフォームです。ドライバーはアプリで「ブロック」と呼ばれる時間枠(1ブロックは数時間単位)を選び、Amazon の倉庫から荷物を受け取って配達します。1ブロックあたりの報酬は事前にアプリ画面で固定額として提示される仕組みです。

公式サイト(flex.amazon.co.jp)には、ブロック制の説明・配達数の目安・所要時間の概要までは掲載されていますが、具体的な時間あたりレンジ・1ブロック金額・地域別の差は公式に公表されていません(取得日: 2026年4月)。実際の数字は、登録後にアプリ画面に表示されるオファーで初めて確認できる構造です。

民間ブログでは「時給2,000円」「2.5時間ブロックで5,000円」といった数値がよく流通していますが、これらは公式の裏付けが取れない数字です。本記事では引用しません。

Amazon Flex で公式に確認できる事実: ブロック単位の固定報酬制を採用していること。それ以外の具体額は登録後にしか開示されません。

3-2. PickGo(CBcloud)— ポイント制と即日入金は公表、手数料率は非公表

PickGo は CBcloud 株式会社が運営するマッチング型プラットフォームです。ドライバーが案件を自分で選び、完了したら報酬がアプリ内ポイント(1pt=1円)として反映され、いつでも入金できる仕組みになっています。

公式 FAQ(pickgo.town/faq、取得日: 2026年4月)には次のような記載があります。

「お仕事完了に伴い、料金の確定をピックゴーで行った後、アプリ内のポイントとして反映されます。反映されたらいつでも入金可能です。業界初の即日入金ですので即時性を持った運転資金の充当が可能です。」(出典: PickGo 公式 FAQ、CBcloud 株式会社)

ここまでが公式に確認できる範囲です。一方、手数料率(プラットフォーム利用料)・換金時の手数料・案件単価のレンジは公式に公表されていません。第三者のレビュー記事では具体的な手数料率の数値が流通していますが、公式裏付けが取れないため本記事では引用しません。

なお、PickGo は2023年に入札制度を導入しており、ドライバーが案件に対して提示金額で応札する仕組みが一部で稼働しています(出典: CBcloud 公式リリース、2023年)。この制度の存在自体は公式に確認できる事実です。

PickGo で公式に確認できる事実: ポイント制(1pt=1円)・即日入金・案件選択型・入札制度の存在。手数料率と単価は非公表です。

3-3. Hacobell(ハコベル)— 割増料金の一部のみ公表

Hacobell(ハコベル株式会社)は、軽貨物便と一般貨物便の両方を扱う物流マッチングサービスです。公式サイト(hacobell.com)では「距離制と時間制の2つのプラン」「カーゴサイズは軽トラと同等」「冷蔵冷凍対応」などのサービス内容を案内しています(取得日: 2026年4月)。

料金面で公式に公表されているのは割増料金の一部のみです。

項目 公表額(税抜)
大都市割増 957円
都市部割増 627円
緊急手配割増 880円
積込・積降作業料金 30分まで無料、以降30分超過毎に+1,650円

(出典: Hacobell 公式サイト、ハコベル株式会社、取得日: 2026年4月)

距離制・時間制の基本料金(軽貨物の単価のコア部分)は公式公表なしで、会員登録後の見積画面で具体額が表示される仕組みです。ドライバー側の受取単価も、案件ごとに個別表示される構造のため、横断的な単価レンジは公開情報からは描けません。

Hacobell で公式に確認できる事実: 距離制/時間制の2プランがあること、上記の割増料金。基本単価は登録後に確認します。

3-4. Uber Eats — 配送料の決定要素は公表、計算式は非公表

Uber Eats は、軽貨物(黒ナンバー)を含む配達パートナーが利用する大手フードデリバリープラットフォームです。配送料の決定方法について、公式ページ(uber.com/jp/ja/deliver/earnings/delivery-fares)では次のように説明されています。

「ピックアップやドロップオフにかかる時間を考慮した配達に要する予定時間、受け取りおよびお届け先の数、交通状況、注文量および稼働中の配達パートナー数など、複数の要素を総合的に考慮して算出される」(出典: Uber Eats 配達パートナー公式ページ、Uber Japan 株式会社、取得日: 2026年4月)

つまり、配送料が複数要素(時間・距離・受け取り/受け渡し件数・交通状況・需給)から動的に決定されることは公式に公表されていますが、個別の単価・サービス手数料率・距離料金の具体額は非公表です。民間ブログの「最低300円」「サービス手数料10%」「ブースト1.5倍」のような数値は公式裏付けが取れないため、本記事では言及しません。

なお、Uber Eats は2026年に配達調整金の廃止選択制クエスト(達成型インセンティブ)の全国展開を実施しました。「配達調整金は2026年現在つかなくなりました」「2026年1月16日から選択制クエストが全国で開始」(出典: Uber Eats 配達パートナー向け公式ページ、2026年)と公表されており、報酬体系が頻繁に改定されている実例の一つです。

また、125cc超のバイク・車(軽貨物含む)は事業用ナンバー必須、自転車・125cc以下のバイクは事業用ナンバー不要、という配達車両の区分が業界共通の前提になっています(次節の出前館の例で公式記載を確認できます)。

Uber Eats で公式に確認できる事実: 配送料の決定要素・配達調整金廃止と選択制クエスト導入(2026年)。具体的な単価計算式は非公表です。

3-5. 出前館 — 5社で唯一、基本報酬を公式公表

出前館は、株式会社出前館が運営する国内発のフードデリバリープラットフォームです。プラットフォーム5社の中で、配達員報酬の具体額を公式に公表している唯一の事業者です。

公式の業務委託配達員ページ(service.demae-can.co.jp/gig_personal、取得日: 2026年4月)には、次のような記載があります。

「基本報酬(400円)+ ブースト」 「配達距離、曜日や時間帯(休日やお食事時)、天候などを考慮して上乗せされる報酬」 「125cc超のバイク・車の場合は、事業用ナンバーの車両のみ配達に使用できます」(出典: 出前館 業務委託配達員ページ、株式会社出前館、取得日: 2026年4月)

1配達あたりの基本報酬400円——この数字は、プラットフォーム型の単価で唯一公式裏付けが取れる具体額です。実際の手取りはここにブースト(距離・時間帯・天候による上乗せ)が加算されますが、ブースト額自体は時間と地域で変動するため、固定値としては公表されていません。

出前館は5社で唯一、配達員報酬の具体額を公式公表している。基本報酬は1配達400円+ブースト

軽貨物(黒ナンバー)で参入する場合は、出前館の上記公式記載のとおり事業用ナンバー必須である点を押さえておきましょう。

出前館で公式に確認できる事実: 1配達基本報酬400円+ブースト、125cc超は事業用ナンバー必須。

3-6. プラットフォーム型の構造的な特徴

5社を並べてみると、共通点が見えてきます。

  • 報酬の具体額を公式公表している事業者が極めて少ない(出前館のみ)
  • 残り4社は「制度の枠組み(ブロック制/ポイント制/距離制・時間制/動的算出)」までは公表
  • ドライバーが実際の単価を知るには、登録・案件提示・地域条件などを揃える必要がある

これは、プラットフォーム側にとって「単価を公表しないこと」が交渉余地・市場環境への適応を残す経営判断の表れであり、ドライバー側からは事前比較が難しい構造になっていることを意味します。「公表値で5社の単価を比較する」という発想自体が、プラットフォーム型では成立しないのが実態です。

3-7. 本章の結論

結論: プラットフォーム5社のうち、配達単価・手数料率を公式に公表しているのは出前館(1配達400円+ブースト)のみ。他4社は制度の枠組みのみ公表しており、ドライバーは登録後・案件提示後にしか具体額を確認できません。 民間ブログで流通する数値は公式裏付けがないため、契約前の判断材料には使えません。


4. 継続委託(大手宅配)— 募集要項は「枠組みのみ」公表

軽貨物で「安定して稼ぎたい」と考える方が最初に検討するのが、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便・Amazon Hub Delivery といった大手宅配の業務委託です。荷主の知名度・案件量・荷物の安定供給という意味では、確かに継続委託が選択肢の中心になります。

ところが、肝心の「いくらもらえるのか」を公式サイトで調べていくと、ある共通の壁にぶつかります。4社のいずれも、配達単価・想定月収の具体額を公式の業務委託募集要項では公表していないのです。

本章では、各社の公式ページで確認できる範囲を素直に整理し、求人広告等で目にする「想定月収」表記をどう読むべきかを考えます。

ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便・Amazon Hub Delivery の4社はいずれも配達単価・想定月収の具体額を公式募集要項では公表していない(4社ロゴ並びに「公表なし」の表示)

4-1. 「継続委託」とは

継続委託は、特定の運送会社・宅配事業者と長期契約を結び、決められたエリア・ルートを専属に近い形で担当する業務形態です。1配達単価か日額固定で報酬が決まるケースが多く、案件量は委託元から継続的に供給されます。

業務形態の3類型における位置づけは 軽貨物ドライバーの働き方|業務形態3類型徹底比較 で詳しく整理しているので、本章はその上で「公表値の中身」だけを見ていきます。

4-2. ヤマト運輸グループの軽貨物募集 — 具体額の記載なし

ヤマトホールディングスのグループ会社が運営するヤマトグループ軽貨物ドライバーの個人事業主/フランチャイズ募集サイト(y-staff-supply-job.net/franchise、取得日: 2026年4月)には、配達単価・想定月収の具体額は記載されていません。

公式サイトに掲載されているのは、業務内容・稼働日数の目安・サポート体制・「頑張りがダイレクトに収入に直結」という働き方の方針説明までです。1配達◯円・月収◯万円・初期費用◯万円・ロイヤリティ◯円といった数字は、公式採用ページからは確認できません

民間ブログ・転職メディアでは「1配達130〜150円」「初期費用248,000円」「月額ロイヤリティ10,800円」「月収30〜70万円」のような具体的な数値が流通していますが、これらは公式裏付けが取れない情報です。本記事では引用しません。

ヤマトグループ軽貨物募集で公式に確認できる事実: 業務内容・稼働方針までで、具体的な単価・月収例は掲載されていない(応募・面談で個別提示の構造)。

4-3. 佐川急便の業務委託 — 制度説明のみで具体額なし

佐川急便の公式採用ページ(sagawa-exp.co.jp/recruit/partner/、取得日: 2026年4月)にも、業務委託(宅配サポーター・宅配メイト)の職種紹介はありますが、配達単価・想定月収の具体額は掲載されていません

公式に確認できるのは、業務内容・働き方・「完全出来高制(個建て)」という制度の枠組みのみです。実際の配達単価は、各営業所・各エリアの状況に応じて応募時・面談時に個別提示される構造です。

民間情報では「1個130円〜(税別)」「月収27〜30万円」といった数値がよく登場しますが、こちらも公式裏付けが取れないため本記事では引用しません。

佐川急便で公式に確認できる事実: 完全出来高制(個建て)の業務委託形態であること。具体的な単価・月収例は公表していない

4-4. 日本郵便のゆうパック委託 — 直接募集要項自体が公表されていない

日本郵便については、もう一段ややこしい構造があります。

公式サイト(post.japanpost.jp)で確認できるのは業務委託規約のPDF(post.japanpost.jp/about/disclosure/kiyaku.html、取得日: 2026年4月)であり、これは契約条件の枠組みを示す文書です。配達単価・想定月収の記載はありません。

実態として、軽貨物ドライバーが「ゆうパックの配達」に関わるルートは、個人事業主が日本郵便と直接契約するのではなく、日本郵便と契約している地場運送会社の下請けとして配達業務を担う間接契約が中心です。日本郵便公式サイトに「個人事業主向けの軽貨物募集要項」自体が見当たらないのはそのためです。

民間ブログでは「ゆうパック委託の年収300〜900万円」「月収25〜80万円」「平均35万円」といった数値が流通していますが、これらは間接契約先(地場運送会社)が個別に提示する条件をまとめたもので、日本郵便が公式に公表している数値ではありません。

日本郵便で公式に確認できる事実: 業務委託規約のPDFが公開されている(金額記載なし)。個人事業主向け直接募集の公式公表値は確認できない

4-5. Amazon Hub Delivery — 制度開始は公式、単価は非公表

Amazon Hub Delivery(AHD)は、個人事業主・小規模事業者が Amazon と直接契約して配達を担う仕組みで、日本では2022年12月に開始されたことが Amazon の公式発表から確認できます。

ただし、配達単価・1日あたりの目安件数・想定月収の具体額は公式に公表されていません(取得日: 2026年4月)。民間ブログには「1個138円(税込)」「1日140個配達で19,000円」「Amazon の希望は1日30〜50個」などの数値が出回っていますが、いずれも公式裏付けが取れない情報です。

Amazon Hub Delivery で公式に確認できる事実: 個人事業主向け直接契約モデルの存在と日本での提供開始時期。具体的な配達単価・月収例は公表していない

4-6. なぜ大手は具体額を公式に出さないのか

4社の公表状況を並べてみると、大手宅配の業務委託募集は「制度の枠組み」までを公式に出し、「金額」は応募者ごとに個別提示するというスタンスがほぼ共通していることが分かります。

背景には、いくつかの構造的事情があります。

  • 拠点・案件・時期で条件が変わる: 同じ事業者でも、配達エリア・案件密度・荷物の種類で単価設定が異なる
  • 物量変動への対応余地を残す: 景気・EC市場・季節要因で物量が変わるため、固定的な公表値を出しにくい
  • 個別交渉の余地: 経験・車両・稼働日数などで条件を調整するため、平均値を提示する意味が薄い

この構造があるからこそ、応募者側がやるべきことは「説明会・面談で必ず数字を確認する」という地道な行動になります。求人サイトに具体額が掲載されている場合でも、それが公式採用ページの記載と一致するか、いつ更新された情報かを見ておく必要があります。

4-7. 「想定月収◯◯万円」表記の読み方

求人広告や転職メディアで「月収50万円可」「月収80万円可能」のような数値を目にしたとき、その数字は次の3点を踏まえて読むのが安全です。

  • 達成可能な上限例: 平均値・中央値ではなく、ボリュームゾーンより上位の事例を提示している可能性が高い
  • モデルケースの前提: 1日◯件・週◯日・繁忙期想定など、特定条件下の試算値であることが多い
  • 公式募集要項と一致しているか: 求人サイト独自の表現か、事業者公式の数字かを確認

軽貨物ドライバーの実態統計【2026年版】 で紹介した適正化協議会R5実態調査では、通常期に月収50万円以上に届くドライバーは1割未満、繁忙期でも約16%でした。「月収80万円可能」と書かれた募集要項の数字は、このボリュームゾーンの上に位置する達成事例として読むのが現実的です。

4-8. 本章の結論

結論: 大手宅配4社(ヤマト・佐川・日本郵便・Amazon Hub Delivery)は、配達単価・想定月収の具体額を公式募集要項では公表していません。 公式に確認できるのは「制度の枠組み」までで、実際の数字は応募・面談で個別提示される構造です。求人サイト経由で目にする数値は「達成上限の事例」として読み、契約前に必ず本人確認することをおすすめします。

次章では、最も公的データが少ない領域——チャーター便の単価——を見ていきます。


5. チャーター便 — 公的に確認できる参考値はごく一部

チャーター便(運送会社からのスポット委託)は、軽貨物の業務形態の中で最も「相場」が見えにくい領域です。継続委託より単価変動が大きく、プラットフォームのような明示的な制度説明もないため、ドライバー側が「今日のこの仕事は妥当な金額なのか」を判断しづらい構造になっています。

本章で先にお伝えしておきます。個人事業主→大手運送会社のチャーター単価そのものは、大半が非公開です。それでも、参考レンジを描ける一次資料はいくつか存在します。本章では、赤帽連合会の全国統一料金、国交省の標準的運賃告示、全日本トラック協会の公表資料、自治体の入札情報、仲介サイトの公表料金まで、可能な限り横断的に集めて整理します。

赤帽はあくまで一例にすぎません。地場運送会社・元請け運送会社が個人事業主に提示する単価とは契約形態が異なる点を、各節で繰り返し確認していきます。

赤帽(全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会)の組織構造図。連合会・44協同組合・組合員(個人事業主)の関係と全国統一料金の仕組み

5-1. 赤帽 — 連合会の共同受注と全国統一料金

軽貨物のチャーター単価で公的に確認できる数少ない参考値が、赤帽の公表料金表です。まず仕組みから整理します。

赤帽は、全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会(44協同組合・組合員約6,000名・車両約7,000台)が共同受注し、組合員(個人事業主の軽貨物運送事業者)が配送業務を担当する仕組みです(出典: 全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会 公式サイト「組織概要」、取得日: 2026年4月)。

連合会・各都道府県組合がブランドとして荷主から受注し、加盟する組合員(独立した個人事業主)が実際の配送を担う、いわばブランド共有型の協同組合です。各組合員が個別に単価交渉をするのではなく、全国統一料金を組合員全員で共有しているのが大きな特徴です。

実際の公表料金表(赤帽首都圏 shutoken.akabou.jp/fare、取得日: 2026年4月)を見ていきます。

項目 公表額(税抜)
距離制 20km迄 5,000円
21〜50km 1kmにつき220円
51〜100km 1kmにつき170円
101〜150km 1kmにつき140円
151km以上 1kmにつき120円
時間制 2時間貸切・20km迄 5,500円
超過時間 30分迄毎 1,250円
作業料金 30分超過後・以降15分迄毎 500円
待機料金 30分超過後・以降30分迄毎 1,000円
休日割増 2割増
深夜・早朝割増(22時〜翌5時) 3割増

(出典: 赤帽首都圏 運賃料金表、取得日: 2026年4月)

赤帽の距離制運賃の代表値。20kmまで一律5,000円(税抜)の全国統一料金

これと同じ料金体系が、赤帽大阪府(osaka.akabou.jp/fare)・赤帽愛知県(aichi.akabou.jp/fare)・赤帽福岡県(fukuoka.akabou.jp/fare)でも公表されています(いずれも取得日: 2026年4月)。愛知・福岡は税込表記ですが、税抜換算すると首都圏・大阪と完全に一致します。

料金は全国統一——これは赤帽の構造的な特徴であり、軽貨物のチャーター単価において地域差を考えなくてよい数少ない参考値として位置付けられます。

ただし注意点が一つあります。赤帽の公表料金は「連合会・組合がブランドとして荷主から受注した際の発注額」であり、組合員の手取りではありません。組合運営費・連合会会費などが控除されるため、個人事業主が自分で大手運送会社からチャーターを受ける際の単価とは契約構造が異なります。「赤帽の料金 = 軽貨物チャーターの相場」と単純に置き換えるのは、構造を見落とすことになります。

5-2. 赤帽以外で軽貨物単独運賃表を公表する事業者は限定的

赤帽以外に、地場運送会社・物流組合などで「軽貨物単独の運賃表」を公式公表している事業者を、本記事の調査範囲ではほぼ確認できませんでした

「赤帽◯◯」「赤帽イマサカ急配」のように赤帽のブランド名を冠する地域配送会社は、いずれも赤帽連合会の統一料金を踏襲しています。一般の地場運送会社は、軽貨物の運賃を顧客との個別契約で決定する形が中心で、Webサイト上に運賃表を掲載するケースは限定的です。

これは「相場が分からない」という最初の問いに直結する構造的な事実です。個人事業主が大手・中堅・地場の運送会社からチャーター案件を受ける際の単価は、ほぼ非公開——この前提を踏まえずに「軽貨物のチャーター相場」を一般化するのは難しい、というのが本記事のスタンスです。

5-3. 国交省「標準的な運賃」告示は軽貨物対象外

ここで、「軽貨物の参考レンジとして国交省の標準的な運賃告示を使えばいい」と紹介する解説をたまに見かけます。一次資料で確認すると、これは正確ではないので整理しておきます。

国土交通省「貨物自動車運送事業の標準的な運賃」告示は、令和2年4月24日に当初告示され、令和6年3月22日に改定告示(令和6年国土交通省告示第209号)されました。改定では運賃水準が8%引き上げられ、荷役の対価等を加算した新たな運賃体系が示されました(出典: 国土交通省「標準的な運賃」について、mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000118.html および 国土交通省 報道発表 mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000294.html、取得日: 2026年4月)。

根拠条文は貨物自動車運送事業法第63条の2(平成30年改正で導入された標準的運賃の告示制度)です。

ここまで読むと「軽貨物の運賃にも適用できそう」と感じるかもしれませんが、告示の対象範囲を一次資料で確認すると、軽貨物は対象外であることが分かります。

国交省ページ・全日本トラック協会の標準的運賃ページ(jta.or.jp/member/kaisei_jigyoho/top/hyoujun_unchin.html、取得日: 2026年4月)のいずれにも、「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃」と明記されています。「貨物軽自動車運送事業」(軽貨物・黒ナンバー)は告示の対象事業に含まれず、告示文書には軽貨物事業の運賃ガイドラインの記載は一切ありません。

結論: 国交省「標準的な運賃」告示は、貨物自動車運送事業法第63条の2に基づく一般貨物(緑ナンバー)専用の制度です。軽貨物は対象外なので、参考レンジとしても引用しないのが正確な扱いです。

5-4. 全日本トラック協会・各都道府県トラ協 — 軽貨物単独の運賃ガイドラインなし

全日本トラック協会(jta.or.jp)が公表する運賃関連資料は、すべて§5-3で見た標準的運賃告示の周知・適正運賃の啓発に関するもので、軽貨物特化の運賃ガイドラインは公表されていません(取得日: 2026年4月)。標準的運賃計算シミュレータ・届出様式・PDF資料の提供はありますが、いずれも一般貨物事業者向けです。

各都道府県トラック協会レベルでも、本記事の調査範囲では軽貨物単独の参考運賃表を公表している事例は確認できませんでした。

業界団体の公的資料に軽貨物の運賃ガイドラインがない——この事実そのものが、軽貨物のチャーター単価が制度的に「市場任せ」になっていることを示しています。

5-5. 自治体・公共機関の入札情報 — 横断集計データなし

自治体・公共機関が発注する軽貨物配送業務の落札単価は、原理的には公開されています。東京都電子調達、NJSS、入札王、関東運輸局入札総合情報システムといった入札情報公開サービスから、案件名・落札金額・落札事業者を確認できる仕組みです。

ただし、「軽貨物配送業務の落札単価」を横断集計したデータは存在しません。案件ごとに荷物の種類・配達ルート・契約期間・台数要件が大きく異なるため、単純な単価比較が成り立たないというのが実態です。

本記事では、特定案件の単価例を本節で取り上げることはしませんが、自治体入札の単価も「個別案件依存で大きく振れる」という構造的な性質があることを記しておきます。

5-6. チャーター便仲介サイト・引越業界の公表料金

PickGo・Hacobell といったチャーター便マッチングサービスの公表状況は §3 で見たとおりで、仲介手数料率は公式非公表です。発注額からドライバー受取額への控除分は、案件ごとに変動します。

引越業界では、赤帽連合会の引越運賃料金(akabou.jp/price)が公表されていますが、これも§5-1で見た全国統一料金体系の一部です。一般の引越業者・宅配代行業者の公表料金は、エンドユーザー向けの目安料金として「軽トラックチャーター 1時間◯円〜」のような形で示されているケースがありますが、ドライバーの受取額は仲介手数料控除前の額面であり、構造的に公表しにくい性質を持ちます。

5-7. チャーター単価の構造的な整理

§5-1〜§5-6を踏まえて、軽貨物のチャーター単価の「公的に確認できる範囲」を整理すると、次のようになります。

  • 公的に確認できる: 赤帽連合会の全国統一料金(距離制・時間制・割増規定)
  • 構造のみ確認できる: PickGo のポイント制・Hacobell の割増料金の一部・自治体入札の存在
  • 公的データなし: 個人事業主→大手・地場運送会社の直接チャーター単価/仲介サイトの手数料率/自治体入札の横断単価

この「公的データなしが大半を占める」事実こそが、軽貨物のチャーター単価を語るときの出発点です。

5-8. 本章の結論と限界の集中明示

結論: チャーター単価は「公表値の集約で参考レンジは描けるが、個人事業主向けの実単価は大半が非公開」というのが現実です。

最後に、本章で繰り返し触れた限界をまとめておきます。

  • 赤帽は組合形態: 連合会の共同受注と組合員(個人事業主)の配送という構造で、純粋な「個人事業主→運送会社」のチャーター単価とは契約形態が異なる
  • 標準的運賃告示は緑ナンバー対象: 軽貨物(黒ナンバー)は対象外で、参考レンジとして引用するのも適切ではない
  • トラック協会の軽貨物単独ガイドラインは存在しない: 業界団体としての公表資料は一般貨物向け
  • 自治体入札は案件依存: 横断集計データはなく、相場として一般化するには情報が足りない
  • 仲介サイトの手数料率は非公表: ドライバー受取額のレンジは構造的に公開されない

公表値で全体像を俯瞰する意味は確かにありますが、最終的に頼れるのは契約前の本人確認と、自分が実際に働いた時間・距離の振り返りです。次章では、額面ではなく手取りで業務形態を比較するための、経費・公租公課のシミュレーションに進みます。


6. 経費・公租公課を引いた「手取り」で考える

ここまで業務形態別の公表値を見てきましたが、もう一段踏み込まないと「相場」の議論は完成しません。個人事業主の場合、額面(売上)と手取りには経費・公租公課・社会保険料という3層の差があります。同じ額面月収でも、業務形態・経費構造で手取りは大きく変わります。

本章では、額面から手取りに至るまでの構造を整理し、業務形態別の試算例を3パターン示します。

個人事業主の収入構造の4段階。売上(額面) → 経費控除後の所得 → 公租公課・社保控除 → 手取り

6-1. 額面と手取りはまったく別物

個人事業主の収入構造は次のとおりです。

  • 額面(売上): 配達報酬・チャーター運賃の合計
  • 経費控除後の所得: 売上 − 必要経費(燃料費・車両費・通信費・保険料・整備費など)
  • 手取り: 経費控除後の所得 − 公租公課(所得税・住民税・個人事業税)− 国民健康保険料 − 国民年金保険料

求人広告・公表値で語られる「月収◯◯万円」は、ほぼすべて額面です。手取りはここから経費・公租公課・社会保険料を引いた後の金額になるため、額面の70〜80%程度に落ち着くのが一般的です(業務形態・経費比率により変動)。

6-2. 主な経費項目

軽貨物の個人事業主が確定申告で計上する主な経費は次のとおりです。

  • 燃料費: 走行距離と燃費に依存。月3〜5万円が一般的
  • 車両費: リース料・ローン返済・車両減価償却(事業利用按分)
  • 通信費: スマートフォン・配達アプリ通信料(事業利用按分)
  • 自動車保険: 任意保険(年5〜10万円程度・契約条件で変動)
  • 自賠責保険: 軽貨物の自賠責保険料は、損害保険料率算出機構の基準料率に基づき毎年見直される。2026年度新料率は2026年4月時点で約6%引き上げを協議中(金融庁自賠責審議会)
  • タイヤ・整備費: 走行距離・車両年式に依存
  • 駐車場代: 自宅敷地外で月極駐車場を借りる場合
  • 消耗品: 台車・梱包材・作業着など

経費比率(売上に対する経費の割合)は、業務形態・走行距離・車両保有形態で大きく変わります。継続委託・チャーターは走行距離が長く燃料費・車両費が膨らみがちプラットフォームは短距離配達中心で経費比率が抑えられる傾向があります。

6-3. 公租公課・社会保険料

個人事業主が支払う公租公課・社会保険料は次のとおりです。

  • 所得税: 累進課税。国税庁の速算表に基づき、課税所得 195万円以下は5%、195万円超330万円以下は10%(控除97,500円)、330万円超695万円以下は20%(控除427,500円)など(出典: 国税庁 タックスアンサーNo.2260、令和7年4月1日現在法令等)
  • 住民税: 所得割10%+均等割(自治体ごとに数千円)
  • 個人事業税: 運送業は地方税法第72条の2の第一種事業として税率5%(事業主控除290万円)(出典: 地方税法第72条の2/各都道府県税事務所)
  • 国民健康保険料: 自治体ごとに料率・均等割が異なるため全国一律の数値は存在しない。所得割(前年所得×料率)+均等割(加入者数×額)+平等割(世帯×額)で計算。2026年度(令和8年度)の賦課限度額は110万円(出典: 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」、令和8年度改正)
  • 国民年金保険料: 2026年度(令和8年度)月額17,920円(前年度比+410円)(出典: 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」、取得日: 2026年4月)
  • 軽自動車税(種別割): 営業用(黒ナンバー)年額3,800円・自家用(黄色ナンバー)年額5,000円(2015年4月1日以降の初度検査車両、出典: 総務省「三輪及び四輪以上の軽自動車の税率区分早見表」)

個人事業税の業種区分について 一部のブログで運送業を「第三種事業」と紹介していることがありますが、地方税法上、運送業(軽貨物含む)は第一種事業に分類されます。税率5%・事業主控除290万円は同じですが、業種分類は第一種事業として確認しておきましょう。

6-4. 額面別の手取りシミュレーション(白色/青色申告で比較)

ここから具体的な試算例に入ります。以下はあくまで特定の自治体・車両条件を仮定したシミュレーション例で、額面の階段ごとに手取りがどのように変わるかの目安としてご覧ください。実際の手取りは、地域・車両保有形態・走行距離・繁忙閑散・契約条件で大きく変動します。

仮定:

  • 経費比率: 一律25%(業務形態・走行距離で実際は20〜30%でブレる)
  • 国民健康保険料: 自治体平均的な水準を仮定(年25〜38万円)
  • 青色申告は 特別控除65万円(電子申告でフル適用)を想定

白色申告(青色申告控除なし)

項目 額面30万円/月 額面40万円/月 額面50万円/月
額面月収(年商) 30万円(360万円) 40万円(480万円) 50万円(600万円)
経費(25%・年) 90万円 120万円 150万円
経費控除後の所得(年) 約270万円 約360万円 約450万円
所得税(概算・年) 約9万円 約16万円 約26万円
住民税(概算・年) 約19万円 約27万円 約35万円
個人事業税(5%・控除290万円後) 0万円 約3.5万円 約8万円
国民年金保険料(年) 約21.5万円 約21.5万円 約21.5万円
国民健康保険料(年・自治体仮定) 約25万円 約32万円 約38万円
軽自動車税(営業用) 3,800円 3,800円 3,800円
公租公課・社保 計(年) 約75万円 約100万円 約129万円
手取り(月平均) 約16.3万円 約21.7万円 約26.8万円

青色申告(特別控除65万円・電子申告)

項目 額面30万円/月 額面40万円/月 額面50万円/月
経費控除後の所得(年) 約270万円 約360万円 約450万円
青色申告特別控除 65万円 65万円 65万円
所得税(概算・年) 約6万円 約10万円 約18万円
住民税(概算・年) 約12万円 約20万円 約29万円
個人事業税(5%・控除290万円後) 0万円 約3.5万円 約8万円
国民年金保険料(年) 約21.5万円 約21.5万円 約21.5万円
国民健康保険料(年・自治体仮定) 約25万円 約32万円 約38万円
軽自動車税(営業用) 3,800円 3,800円 3,800円
公租公課・社保 計(年) 約65万円 約87万円 約115万円
手取り(月平均) 約17.1万円 約22.8万円 約27.9万円
白色との差(年・節税効果) +約10万円 +約13万円 +約14万円

(特定の自治体・車両条件を仮定した試算例。所得税・住民税・国民健康保険は自治体・所得階層で変動します。所得税・住民税は基礎控除と社会保険料控除を反映済み。)

額面30/40/50万円層の白色申告と青色申告の手取り比較。青色申告で年10〜14万円の節税効果

3つの額面層を並べると、いくつかの傾向が見えてきます。

  • 公租公課・社保の合計は年65〜130万円: 額面30万円層で年75万円(白色)、額面50万円層で年129万円(白色)。額面が上がるほど絶対額は増えるが、手取り率は約65〜68%でほぼ一定
  • 青色申告で年10〜14万円の節税: 月にならして約0.8〜1.2万円。額面が上がるほど節税効果も大きくなる(限界税率が上がるため)
  • 手取り月17〜28万円のレンジ: 額面30万円→手取り約17万円、額面50万円→手取り約28万円。額面の上振れがそのまま手取りに効くことが見える

6-5. 額面と手取りで意思決定の前提が変わる

業務形態を比較するとき、「額面の月収」だけで判断すると、経費構造の違いを見落としやすくなります。

  • 継続委託: 案件量は安定するが、走行距離が長く経費比率が高め
  • プラットフォーム: 短距離配達中心で経費を抑えやすいが、案件量・単価が日々変動
  • チャーター: 高単価案件もあるが、長距離配達が中心で燃料費・整備費が膨らむ

同じ額面でも、車両ローン・燃料費・通信費・保険料の積み上がり方で手取りが数万円変わるのは普通です。「額面◯万円」だけで業務形態を選ぶのではなく、経費比率を含めた手取りで比較する——これが本章の核心です。

そして、経費比率や手取りを正確に把握するには、毎日の運行(時間・距離・経過地点)を継続的に記録することが出発点になります。


7. 公表値の有無は「構造の違い」を映している

ここまで業務形態別に「何が公表されていて、何がされていないか」を見てきました。改めて全体を眺めてみると、「公表されているかどうか」は単なる開示姿勢の違いではなく、単価の決まり方そのものが違うことを映しています。本章では、その構造の違いを2つの軸で整理します。

7-1. 機械的に決まる世界(プラットフォーム)

プラットフォーム5社(Amazon Flex / PickGo / Hacobell / Uber Eats / 出前館)は、配達単価そのものは公式に公表していないものの、社内で機械的に値付けされているのが基本です。距離・配達数・時間帯・地域・需給バランスといった条件をアルゴリズムに通して金額が決まり、そこに人の判断は入りません。

ここから見えてくる特性は次のようになります。

  • 同条件のドライバー間に単価差がない(ドライバーランクで単価を変える等の制度がなければ)
  • 委託会社にこっそりピンハネされる、人を見て単価が変えられるといった不透明さは構造上起きにくい
  • 公表されていないのは「営業上の機密」であって、「人によって違うから出せない」のではない
  • 一方で、ドライバー側に交渉の余地はほとんどない。単価を上げるには、本人ではなくプラットフォーム自体の改定を待つしかない

良くも悪くもフラットで平等な世界——働いた量がそのまま金額に反映される、シンプルな構造です。

7-2. 個別交渉で決まる世界(継続委託・チャーター)

一方、継続委託や個人事業主向けチャーターでは、単価は個別交渉の変数として決まります。配達単価・チャーター運賃が公式に公表されないのは、開示を渋っているというより、そもそも交渉次第で変わるから一律の数字を出しようがないという側面が強いと考えるのが自然です。

ここから見えてくる特性は次のようになります。

  • 交渉次第で単価が上がる余地がある。実績・案件特性・地域・拠点との関係性で、同じ業務形態でも個人差が出る
  • 一方で、人によって単価が違う・間に入る業者にマージンを取られるリスクも、構造上ありえる
  • 公表値が手に入りにくい代わりに、自分が動いた分だけ条件を変えられる可能性を持っている
  • 「業界相場はこれくらい」という一般化は、個別契約の前では参考程度の意味しか持たない

自由度は高いが、公平性が保証されない世界——だからこそ、契約前に自分で数字を確認する力と、必要なら交渉する余地が、結果に直結します。

プラットフォームの「機械決定/フラット/交渉余地なし」と、継続委託・チャーターの「個別交渉/個人差/交渉余地あり」の対比

7-3. どちらが優れているという話ではない

機械的に決まる世界と個別交渉で決まる世界は、どちらが優れているという比較の対象ではありません。求めるものによって、向き不向きが変わるだけです。

  • 公平性・予測しやすさ・精神的な楽さを優先するなら: プラットフォームの「機械決定・フラット」は強み
  • 自分の働きで条件を引き上げたい・特定拠点との長期関係を築きたいなら: 継続委託・チャーターの「個別交渉・変動」は機会

赤帽が全国統一料金という選択をとっているのも、組合員間で不公平を生まない仕組みとして「機械的・フラット」の側に振った設計と読むことができます(出典: 全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会 公式サイト)。連合会が共同受注し、44協同組合・約6,000名の組合員に同条件で振り分ける構造は、プラットフォームに近い性格を持ちます。

7-4. 共通する「公表値の使い方」の注意点

機械決定・個別交渉、どちらの世界でも、公表値(あれば)を読むときには次の点を意識する必要があります。

  • 「想定月収◯◯万円」表記は達成上限例示であることが多い: 求人広告で「月収80万円可能」と書かれていても、実態統計【2026年版】 の通り通常期に月収50万円以上に届くのは1割未満。上位事例として読むのが現実的
  • 季節・地域・案件量で実額は大きく変動する: 11〜1月の繁忙期と2〜3月の閑散期で、プラットフォームのインセンティブも継続委託の出来高も大きく揺れる
  • 公表値・制度は頻繁に更新される: Uber Eats は2026年に配達調整金を廃止し選択制クエストを全国展開、PickGo は2023年に入札制度を導入、標準的運賃告示も令和6年3月に改定されている。今日の数字が半年後も同じとは限らない

7-5. 本章の結論

結論: 公表値の「ある/なし」は、単価が機械的に決まるか個別交渉で決まるかという、構造の違いを映しています。 どちらの世界でも、公表値は出発点でしかなく、最終的に自分の手取りを決めるのは「自分の選んだ世界の特性」と「契約前の本人確認」です。次章では、ここまでの整理を踏まえた行動指針をまとめます。


8. まとめ:公表値で全体像、契約前に本人確認

最後に、業務形態別の相場感を一覧で整理し、軽貨物の単価をめぐる現実的な判断軸をまとめます。

8-1. 業務形態別の相場感サマリ

  • プラットフォーム型: 5社のうち公式に具体額を公表しているのは出前館のみ(基本報酬1配達400円+ブースト)。Amazon Flex・PickGo・Hacobell・Uber Eats は制度の枠組みのみ公表で、具体額は登録後・案件提示後に確認する構造
  • 継続委託(大手宅配): ヤマト・佐川・日本郵便・Amazon Hub Delivery のいずれも、配達単価・想定月収の具体額は公式募集要項では公表していない。応募・面談で個別提示される
  • チャーター便: 赤帽連合会の全国統一料金(20km迄5,000円〔税抜〕、以降の段階料金)が公的に確認できるほぼ唯一の参考値。国交省「標準的な運賃」告示は令和6年告示第209号で改定されたが、対象は一般貨物(緑ナンバー)のみで軽貨物は対象外

これらの公表値はすべて、「参考レンジ」「達成上限例示」「年次更新前提」の3点を踏まえて読む必要があります。

8-2. 公表値だけで判断しない

軽貨物の単価・月収を考えるとき、本記事から持ち帰っていただきたい行動指針は次の3つです。

  1. 公表値で全体像を把握する: 業務形態によって単価構造そのものが違うので、まずは「どのカテゴリでどの程度の数字が出回っているか」を俯瞰
  2. 契約前に最新情報を本人確認する: 公表値は事業者により頻繁に変更される。応募・面談・契約書で必ず最新の数字を確認
  3. 自分の運行を毎日記録する: 業務形態を選び直す判断材料は、自分が実際に働いた時間と距離にしかない

業務形態を比較するときも、現状を見直したいときも、出発点は「自分の数字」です。プラットフォームでも、継続委託でも、チャーターでも、毎日の運行記録(業務の記録・点呼・日常点検)は法令上必要なので、その記録を自分の働き方を振り返る材料としても活用できると、二重の意味で意義があります。

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参考資料

各URLは2026年4月取得。

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継続委託系

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公租公課・経費系

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